EVO2016ファイナルと観戦スポーツとしての格闘ゲーム

Redbullの記事を掲載する予定でしたが,予定を変更して(理由は後述)EVO2016に関して問題提起する記事を翻訳しました.

非常に派手な会場で行われたEVO2016ファイナル,そしてそれに絡んだ格闘ゲームの生観戦について.

EVO JAPANも企画されていることですし,いま一度見なおしてみるのも一興でしょう.

 

元記事:Does the virtual nature of fighting games pose a threat to live spectator events like the EVO 2016 finals?

 

 

我々は成し遂げた.我々は古く,おそらく汚いコインランドリーの片隅から,マンダレイベイ・イベントセンターまでたどり着いた.先週の日曜日のEVOファイナル(*決勝戦)は,競技格闘ゲームの歴史において記念すべき到達点となった.

 

しかし,EVOファイナルを見ながら,私はこう自問自答出来ずにはいられなかった.「これは馬鹿げてないか?」と.多くの人々が伝統的なスポーツ観戦に足を運ぶのは物理的な存在(*現象)を経験するためだと私は思う.アウトドアの気候,芝の匂い,バスケットボールの音,そして乾いたバットの音などを,だ.

 

そんな要素がeSportsイベントのどこにある?あなたにはボタンを弾く音はほぼ聞こえないし,既存のeSportsカルチャーを考えれば,近くの観客の3日目の(*洗っていない?)体臭が唯一嗅げる臭いだ.

 

何千もの人々がアリーナでの生観戦と世界中の生配信,そしてESPN2で観戦した.疑いようもなく,格闘ゲームは観戦スポーツ(スペクテータースポーツ)の域に足を踏み入れている.そしてそうなると必然的に観戦料の話になる.

 

その観戦料を正当化することはできるのだろうか?

 

一歩話を進める前に,私は個人的な意見を述べたい.人々はeSportsイベントに観客として注目し,お金を払うだろうが,そのことはいい.$65の総合入場チケットはコミュニティにより多くのお金をもたらすからだ.

 

そうであっても,なぜこのようなイベントに参加するのか正確な理由を訊かずにはいられない.私が思うに,プロスポーツ観戦に行く主な理由のひとつは,動いているアスリートを観るためである.このことは生で彼らのパフォーマンスを観ることができ,そして(*TVのように)カメラによってあなたの視覚が常に規制されたり,技術的に制限されないことを示す.

 

生のサッカー観戦では,いつでも好きなプレイヤーを選んで観ることができる.試合の動きに関わらず,フィールドの上を見ようが下を見ようが自由だ.

 

しかしながら,eSportsでは動きは完全に画面に押し込まれ,100%画面の中でしか起きない.EVO2016 では観客は究極的には,大きなスクリーンを観ながら,我々が家から観られるまったく同じ内容を観ているだけに過ぎなかった.

 

こう言うとあなたは,プレイヤーの複雑な物理的なリアクションや表情,手の動きでさえ見れば面白いじゃないか,と文句を言うかもしれない.しかし,あなたは最前列に座り,適切な位置を取れないのならば一切そういったものを目にすることはできない.

 

また,現実的な話をすれば,格闘ゲームコミュニティの大部分の人間は手の動きを見たり,それを分析することはない.

 

EVO2016は素晴らしい経験であった.カプコンが以下の5つのシーンをまとめてくれており,これがいい例になるだろう:

 

 

時折起こる感情的な早口でまくしたてるコメンタリーやドラマチックな入場は,私が先述したなぜプロスポーツイベントにいくのかという議論に付随するライブエンターテイメントであるが,そういった事象が必ず起きるとは保証されていない.特にもっぱら真面目で大人しい日本人がファイナリストの多くを占めるときにはそうだ.

 

EVO2016は画期的な出来事で,毎年この形式のイベントが成功するとするだろうが,その原動力はこのEVOファイナルへのノスタルジアに他ならない.そうやって大きくなったとき,何が起きるだろうか.

 

野球のメジャーリーグシーズンにおいて,理論上は贔屓のチームの162試合を生で観戦することができるし,ある人々はそれをやってのける.今や毎週のようにメジャーな格闘ゲームイベントが開かれているが,これらのイベントで毎回観客を入れて派手な決勝を行うほど大きくなったらどうなるだろうか?

 

人々を惹きつける要素は十分なのか,それとも,現場で得られる多くの経験が家から快適かつヴァーチャルに安価に得られると知って,輝きと魅力は消え去ってしまうのか.

 

格闘ゲームには確実にスペクテータースポーツとしての未来が待ち受けているが,しかし,「生」のスペクテータースポーツとしての未来はどうだろうか.我々はより確立したeSportsのジャンルに近い答えを見つけることができるだろう.MOBA,FPSそして他のジャンルは我々よりも一歩先をいっていて,実際に大規模かつコンスタントな生の観客動員を実現している.

 

我々はRedbull Kumiteのような招待制イベントを今年すでに目にしているが,Redbull Kumiteは非常に観客寄りの角度で見せていた.入場テーマ,ドラマチックなトロフィーの演出,幕間のコンボエキシビションやオクタゴンを使った試合リングなど,すべて人々を楽しませ続けるために演出されていた.

 

もし我々が入場料を取り始めるなら,このようなスタイルが標準的にならなければならないのか?

 

私が思うeSportsの答えは,隣の観客と物理的に空間を共有することによってしか起きない仲間意識だろう.歓声や,感情のこもった沈黙,賭け(違法じゃないやつ!)などは全てあなたが家にいては得られない経験だろう.

 

おそらく,現場に行って生で何が起きるか観たいと思うことは,人間的に自然なことなのだと思う.例え,生で起きていることが同時かつ全く同じように,(*バーチャルリアリティなど)技術的にかつてないほど近くなった地球の反対側から観られるのだとしても.

 

我々はこれからもどんどんスペクテーター化した格ゲーイベントを目にすることだろうが,そのことは格ゲーコミュニティにお金をもたらす以上に,いいことだと私は信じている.これらについては議論する価値があり,あなたの意見が聞きたいところだ.

 


まず最初に.

先日申しておりましたRedbullに掲載されていたEVOのKOFXIVサイドトーナメントに関する記事ですが,日本語版サイトで翻訳される可能性を考慮して十分に(二週間ほど)時間をおいて,翻訳し,さあ掲載するぞ,となった同日に掲載されていたことが発覚し,意気消沈しておりました.逆に考えれば同日に被せて出さなくてよかった,と考えられるところでしたが.日本語版サイトはもっと早く翻訳してくれ

 

さて,今回の記事はスペクテータースポーツ,すなわち観客をたくさん動員し,観客中心となるショースポーツの域に足を踏み入れた格闘ゲームイベントについて問題提起を行うものです.観客が生で観戦するほどの要素が格闘ゲームにはあるのか,あるとすればそれは何なのか,ということにフォーカスしています.

EVO2016ではアメリカのケーブルテレビチャンネルであるESPN2が決勝戦を中継することになり,マンダレイベイのイベントホールを貸し切るという格闘ゲーム史上前代未聞なほど大規模なイベントと化しました.

筆者はその様子を感傷を交えながら,しかし冷静に分析しています.特にスペクテータースポーツが人気なアメリカでは生観戦に対してシビアな側面もあるのかもしれません.例に出てきたメジャーリーグでは,試合場に足を運んでもらうために様々な工夫をしております.テレビでは見られない催しを行ったり,球場ならではのサービスを行ったり,球場に来た雰囲気を味わってもらうために日本と違って鳴り物の応援を禁止していることなどが有名です.「音」や「匂い」などの物理的な要素が味わえるのも「生」観戦ならではでしょう.

特に観戦料が絡むとシビアな話になります.EVO全日通しての入場券$65,果たして最終日のマンダレイベイにおける大舞台での観戦にそれだけの価値はあるのか,筆者は問いただしているのです.

そのように問題提起する理由がいくつかあります.

一つは格闘ゲームが多くの場合,画面ひとつで事足りるということです.試合画面と選手の表情を画面に納めてしまえば,目にする画面においては生観戦と配信での観戦と違いがありません.時折観客のリアクションを拾えば完璧です.これは構造上の話なのでどうにもならないところではあります.特に,ゲームセンターで試合をしているレベルならともかく,それをはるかに超える大規模になるとその傾向は大きくなるでしょう.

また,画面以外に一般のスポーツ観戦で得られるような要素が少ないことも指摘されています.そりゃ,ゲーム大会の会場でさわやかな芝の匂いをかげることなど,めったにないことでしょう.成田は早すぎたのだ.

そして一つはドラマチックな展開や感情的なパフォーマンス,ド派手な入場は必ずしも見込めないということです.熱戦というのはお互いの実力が近かったり,あるいは場合によってはミスの応酬によって起こったりするもので,競技をやっていれば常に熱戦になるわけではありません.そのあたり,アメリカ4大スポーツは見せるのが非常にうまいですし,必ず見どころが提供されるショープロレスリングが人気を得る理由のひとつです.一方で世界最高峰の総合格闘技団体のUFCでも抱えている問題でもあります.そのためUFCでは選手のプロモーションや解説,観客の教育などを経て,試合そのものの見どころを増やしたり,試合以外での価値を増やす努力をしています.PRIDEの煽りVなどが秀逸だったのはその点です.

またパフォーマンスや入場に関しては,我々日本人が挙げられていますが,文化の違いによってうまくアピールできない,あるいは真剣に競技に来たのにショーをやらされることに抵抗がある場合もあるでしょう.プロプレイヤーならともかく,全員が全員できるわけではありません.

そのあたりの問題をうまく解決した例として挙げられているのがRedbull Kumiteです.世界最高のプレイヤーを集めつつ,当日の地元予選からも代表を出し,総合格闘技で使う八角形の金網型リングのオクタゴンを持ち出し,入場など演出に凝り,選手が無理をしなくても会場が楽しめるような仕組みが用意されています.このあたり,アメリカのCEOが以前から有名で,非常にうまい仕組みだと思います.

 

このような問題を挙げながら,筆者は生でしか得られない「ライブ感」にスポットを当てています.これはこれからのゲームシーンでは外すことができない要素です.多くのゲームイベントが配信されたり,それ以前に家庭用で通信対戦ができる現代,わざわざイベントやオフ対戦の場に足を運ぶ理由は何か,といったら間違いなく「ライブ感」です.これは映画館等にも言えることで,最近では4DXを導入したり,応援上映などが人気を評したりと,家では経験できない「ライブ感」を詰め込んでいく動きがいろんな分野で見られます.翻って格闘ゲームイベントですが,大規模になればなるほどウェットな「ライブ感」をいかに演出して足を運んでもらい,お金を払ってもらうかが課題になっていくことでしょう.本文にも書いてあるように,できることならば生で観たいのは人間の性ですから,その点については今後とも議論がつきないところだと思います.

日本ではまず諸々にお金を払ってもらうのが大変だという話もありますが….

 

さて,ここからは少し本文から離れて少々.

「賭け」と「ナショナリズム」は簡単に観戦を熱くできる魔法の調味料です.特に「ナショナリズム」は国に限った話ではありません.自分の所属しているコミュニティ出身である,自分と同じキャラを使っている,あるいは単に名前を知っているだけでも応援する要素になります.先に挙げたUFCでは選手のプロモーションや,ともすればプロレスのアングルのようなトラッシュトーク,選手のインタビューの掲載などに余念がありません.試合の見どころを選手自身に語らせ,この点は格闘ゲームがショー化する上で非常に参考になる先達の一つでしょう.

これは悪いことではありません.点が入らないサッカー,どっちが有利かわかりにくい寝技,そして何がすごいのか伝わりにくい地味な展開の格闘ゲーム(付け加えるなら,格闘ゲームの大半は素人にはなかなか凄さが伝わりません)など,素人にとって見どころがわかりにくい競技やケースほど,「知られていること」がアドバンテージになります.有名プレイヤーの応援に熱が入ってしまう人もいることでしょう.ただ,これからゲームシーンで競技的に活躍したい,あるいは支持を得たい人ほど逆説的に露出を行う必要が出てくるのかもしれないことが難しいところですが….

また,日本において競技ゲームシーンが「世界大会」「高額賞金」「プロゲーマー」をメインにしてプロモーションされているのもこういった事情が想像できます.ただでさえルールはわかりやすいのに展開がわかりにくいという格闘ゲームの特性も相まって,権威主義とナショナリズム,有名人を組み合わせるのは一般人に対しては有効です.ただ,これらは確かに悪いことではないのですが,頼り切りになってはいけない点ではあります.

したがって,地道な教育や,コミュニティの醸成が,このような大きく,かつショー的な要素が強い大会が増えていく上で大切な要素になっていくことでしょう.教育等は専門メディアやプロゲーマーらが行う配信など,専門の方々に任せるとして,いちプレイヤーとしてできることはローカルなイベントに参加して,コミュニティの一端に名を連ねるのが一番楽しめるようになるところなのかと思います.

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