KOF XIVの抱えるカラーパレット問題

発売前後で賛否両論巻き起こったKOF XIVのグラフィックですが、今回は「キャラカラー」に関する記事になります。

キャラクターの造形はもう慣れてきた頃だとは思いますが、色についてはいかがでしょうか?

元記事:The Problem with The King of Fighters XIV’s Palette Selection: A Step Back for the Franchise

カラーパレットの良し悪しほど、ゆるく識別に使える要素は多くない。良いカラーパレットが何よりも果たすべき役目とは、デフォルトカラーと区別をつけることだ。それをクリアした後、他のカラーとも区別がつくならそれはさらなるプラスだ(すなわち、カラー2はデフォルトのカラー1と区別がつくなら、カラー4や5、8と実質似ていても構わないのだ)。そしてカラーパレットのもうひとつの重要な要素は「完全に変化した」と感じさせられるものである。すなわち、単に「あるキャラクターが赤いシャツの代わりに青いシャツを着ている」ものとは異なる。この効果は得るのはとても簡単である。肌の色や目の色、メイク、髪色、特殊効果の色、そして服装のトーンを変えればいいのだ(明るいカラーの代わりに暗くて怖いカラーにする、など)。

これらはカラーパレットの重要な面であるが、さらに細かい要素によってカラーパレットは良くなる。私の以前の記事でも触れていて、そこでは『ストリートファイターV』のバイソンの衣装における、メインカラーとアクセントカラーの重なり具合がいかに素晴らしいテーマを作り上げているのか分析した。メインカラーとアクセントカラーとはカラーパレットから感じ取られる雰囲気をつくる重要な役割を果たす。より細かいディティールや肌や髪色のトーンにおいても同様だ。それらが適切に活用されることで、衣装を強調したり、特定の面を隠したりして独特な雰囲気を作り出すことができる。もし、異なるキャラカラーを選んだときにそのカラーを選ぶまで感じたことのない雰囲気を感じ取ったとすれば、それはキーとなるディティール周りの色の強弱(*ハイライト)や構造の重要性を直接経験したことになる。どれだけ小さなものだとしても。

KOF XIVにおいては、1キャラあたり4つしかキャラカラーがないことに私はゾッとしている。DLCでカラーや衣装を買わせる現代であっても、基本カラーの少なさは信じられない。カラーパレットよりも衣装に重きをおくゲーム(NRS*1のゲーム、ソウルキャリバー、鉄拳など)を除けば、2002年以来人気タイトルではこんなに少ないカラーの作品はほとんどない。しかも過去作と比べて後退してしまったタイトルは見たことがない。前作、KOF XIIIでは各キャラ最低でも10カラー、キャラによっては20カラー*2用意されていて、さらにカラーエディット機能によってカラーパレットは指数関数的に増大する。それが前作まで揃っていたものだが、KOF XIVで1キャラあたり4色からのスタートになっていることは(作品全体ではのべ200カラーに及ぶものの)望ましいものだとは言いがたい。しかし、この事自体がすぐにこのゲームのカラーパレットが壊滅していることを示すわけではない。もしちゃんとしっかり区別され、多様性のある4色が用意されているなら、のべ200カラーの中から選べて多様性をもたらすことができる。

(*1:NRSゲームとは、『モータル・コンバット』シリーズや、『インジャスティス』など、”NetherRealm Studio”の制作したゲームのことを指します。
 *2:『KOF XIII』では各キャラ10カラー用意されているだけでなく、一部キャラクターは旧衣装など異なるデザインが選択できるため、合計20カラー選ぶことができます。)
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▲ノーマル京なら、最初から革ジャンと学生服の2パターンを選べる(アレコスではない)

各キャラについて個別にコメントすると何時間も使うことになるので、全般的に見られる問題を取り上げ、その中でも極端な例を挙げることとする。

最初に気づくであろう大きな問題は、肌の色や髪色に大きな違いがないことだ。肌の色が極端に変わっているキャラはキング・オブ・ダイナソーかアントノフぐらいのもので、多くのキャラの髪色の変化も後付程度にしか違いがない。このことは明らかにおかしく、特にカラーパレットの大部分が肌と髪の色で占められるキャラにおいて顕著である。すなわち、ガンイル、アリス、アンヘル、ムイムイ、そしてジョー・東のようなキャラのことだ。ジョーを例として見ると、肌が彼の外見の多くを占めている。そのようなケースで言えば、彼の肌色が暗くなっているカラーが1つしかないのはおかしい。さらに彼の髪色は全てのカラーで同じような暗い色調であり、異なるカラー同士を見分けづらくしている。単純にKOF XIIIのジョーのカラーパレットと比較すれば、違いがわかってもらえるはずだ。

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(※以降の画像は本文より転載)

 次の問題は、KOF XIVの多くのカラーパレットが淡白で色がくすんだような感じを与えることである。このことがあからさまにうかがえるキャラはそれなりにいて、それらのキャラはそれぞれのキャラカラーで同じようなトーンの漠然とした色調の色が織り交ざっているため、キャラカラー間の違いがほとんどないかのように見えてしまう。これが顕著なキャラクターは、ククリ、K’、ルオン、ラルフ、そして最も例に適しているのがレオナ・ハイデルンである。レオナは紫、ブルー、オレンジ、と非常にくっきり分かれた色がそれぞれのキャラカラーになっているにも関わらず、それらの色は全てわかりづらくなっている。グレー、白、黒の色が彼女のズボンにたくさん加えられているため、暗いトーンの色が識別しづらくなっているのだ。繰り返しになるが、過去作のレオナのカラーパレットと見比べればいかに淡白な色になっているかわかるだろう。XIIIのカラーは特別驚くようなものではないが、とてもクリアではっきりと何色かわかるようになっている。

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最後に、これもたくさんのカラーパレットの中で一貫して見られる問題であるが、カラーパレットの中で1~2色しか色を変えず、大小に関わらず残りのディティールはそのままだという点だ。ぶっちゃけて言えば、サボっている。この問題が目立つキャラクターは、チャン、大門五郎、京、そしてギース・ハワードだ。そして最たる例はクーラ・ダイアモンドだ。彼女は全てのキャラカラー間で2色しか色が変わっていない。彼女のジャケットとパンツ、そしてジッパーのみである(ジッパーも金か黒しかない)。クーラは色を変えられるパーツがないわけではなく、髪色、肌色、グローブやブーツにある金や黒の部分、アームバンド、ジャケットとパンツの内側の色(白と黒の部分)と変えられる部分は揃っている。それに、ジャケットとパンツのカラーをそれぞれ異なる色に変える、すなわち、ジャケットとパンツをそれぞれメインカラーとアクセントカラーに変えることで外見的に面白くする可能性だってあるはずだ。これらの欠陥がゲーム全体において意味のない違いをパレット選択に与えてしまっている。クーラがカラーパレットの欠点を示す最適な例として挙げられるのもそのためだ。

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キャラカラーの少なさと、多くのキャラクターに蔓延するこれらの問題を考えると、このゲームのカラーパレットを尊重するのは難しい。それはさておき、以上のような問題を挙げてきたが、KOF XIVの全てのカラーがひどいわけではない。とても良いカラーはいくらかあるので、気まずいまま終わる代わりにこのゲームにおける成功例だと私が思う例を示して終わろうと思う。これらのカラーは審美的にも充分で、他のカラー間との違いを出すのにも非常に努力がなされているからだ。中でも私が個人的に気に入っているものは、ロバートとラブ・ハートである。

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以上が今回の議論である。次の記事を予告すると、ストリートファイターVを再び扱うか、他のゲームを探す予定にしている。もしあなたがこの議論を楽しんだのなら、コメントを残して欲しい(*元記事のコメント欄です)、そして友人のためにKick-Punch-Blockに載せた似たような記事も読んで欲しい。そこではアンヘルに注目して、今回書いたような問題について議論している。その記事では新しいカラーの方向性も例示している。


(以下翻訳者の戯言)

KOF XIVのキャラクターに関するカラーパレット(色の組み合わせ)について、批判した記事です。

この記事内で筆者は、格闘ゲームのキャラクターカラーについて「デフォルトカラー(あるいは他のカラー)と見分けがつく」ことを最も重視しています。2つのキャラクターが近距離でもつれたときにどちらが自分のキャラかわからなくなったら、ゲームとして問題があるからです。それを一番重要なことであるとした上で、さらに延長する形で、「色の多様性」を主張しています。これについてはデザイン的にもカラーパレットの多様性があることは都合がいい背景もあります。

この記事でキャラカラーの観点から挙げられているKOF XIVの問題点は以下の4つです。

① 各キャラ4カラーずつしかない

② 肌の色や髪の色に大きな差がない

③ 色が全体的に淡い、あるいは地味

④ カラー間で変わっている部分が少ない

これらについて、まとめながら私の思っていることを書いていこうと思います。

①について。4カラーずつしかないというのは近年の格闘ゲームでは珍しい程少ない数です(スト5の初期カラー“2”と比べるのはやめましょう…。サバイバルでカラー解禁などなかった…)。キャラのカラーはゲームをプレイする上で支障が出ないようにするだけでなく、キャラクターの方向性を示す、あるいはプレイヤーの個性を出すためにも重要な要素です。(下記動画はパロディも含めてやりすぎ(褒め言葉)たゲームの例)

(※https://www.youtube.com/watch?v=9YimmcSHdUUより引用)

特にKOFは近代格闘ゲームシーンの中でも飛び抜けてグローバル、すなわちプレイヤー側の多様性も大きいゲームですので、肌の色や髪の色にバリエーションがあったXI~XIIIのカラーパレットは秀逸だったと思います(ゲームにありがちな出演者の”南北問題”をある程度クリアできる)。

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▲KOF XIIIの秀逸なカラーパレットの例

もちろん、全50キャラいることを考えればのべ200カラーになるのでコスト面から4カラーに絞る理解はできますし、ふた昔前のアーケードゲームを考えれば「使用するボタン1つにつきカラー1つ」あれば充分である、というのも原点回帰的ではあります。

カラーエディットは配信・投稿をメイン機能に携えたPS4がプラットフォームとなることからも、「裸○○○」のようなカラーでプレイされるリスクを考えれば無くても納得はできます。キャラクターを自由にできるという文脈での楽しみは減りますが、その代わり、各種ゲージを消したりしてスクリーンショットを楽しめる機能で補完されていると言えるでしょう。

問題は筆者も指摘しているように②~④のカラーパレットの仕様によって、そもそもの基本である「デフォルトカラー(あるいは他のカラー)と見分けがつく」というカラーパレットの役目が果たされていないところです。それさえできているなら、「同じキャラが異なる色の衣装を着ている」だけでも良いのですから(個人的にはそのほうが好み)。

②~④については3DモデルとKOFの持つキャラクターの個性との兼ね合いが原因の一つに考えられます。

すなわち、3Dモデルでキャラクターの個性を維持しながら、髪色や肌の色を大きく変えるのは難しいのではないか、という点です。多くの3D格ゲーが衣装チェンジやデザインチェンジで1P2Pのカラー区別を付けていたりするように、全体のバランスを考えたときにあまり変えられるところが多くないことがうかがわれます。また、現時点で肌色を大きく変えているキャラがキング・オブ・ダイナソーやアントノフ等であることからも、キャラクター性との兼ね合いがうかがえます。

初回限定版に付属していたアートブック等を見ると割とどのキャラも違いを付けているように見えるのですが、やはりイラストと3Dモデルとでは勝手が違ったのではないか、と思わされます。レオナのカラー4はなぜアートブックの通り褐色肌ではなかったのか…。

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▲初回限定版付属のアートブックの内容例。右上のカラーサンプルを見ても差異はそれなりに見られます。

特にKOF XIVではカットインでアップになる場面も多いので、①で指摘されているような髪色や肌色については、変えすぎてキャラのイメージが変わってしまうことも考えられます。さらに、背景がリアルなものとなっているので、背景に溶け込ませないためにも明るい肌や髪の色のままのキャラが多いのかもしれません。

③のように衣装の色の多くが「薄い」あるいは「脱色されている」ように感じられるのは、服装の質感が非常に前面に出るモデルになっているからでしょうか。さらにキャラのイメージを壊さないトーンを選ばれた感があります。その結果みんな同じようなイメージになってしまったとしたら皮肉なものですが。4カラーしかない、という縛りが効いている可能性もあります。④についても同様ですが、もうちょっと冒険しても良かったのではないかと思わされます。最後のスライドにもあるようにうまくカラー分けができているキャラもそれなりにいるわけですし。

まとめますと、SNKはキャラクターの個性を壊さない方向でデザインしたのではないか、というのが私の個人的な視点です。製作期間やコストが不足していた可能性についてはノーコメントです。

特に今作の3Dモデルに切り替えてから初回の作品ということもあり、冒険しきれなかった可能性は充分に考えられます。今後ノウハウが蓄積してからの展開に期待する方向でいたいと思います。

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