【翻訳記事】ゲームセオリーと点心:シャオハイの語るトーナメントへのアプローチ

カナダカップでもKOF XIV優勝、ストV準優勝と最近気を吐いているシャオハイ選手。

そんな彼に点心を食べながらインタビューした記事がSyoryuken.comに掲載されています。

最近のトーナメントのグランドファイナルでの戦略、そして、シャオハイ選手の考えるトッププレイヤーのアプローチについて書かれた記事のほぼ全文訳です。

 

tensin 元記事:Game Theory and Dim Sum: Xiaohai Talks about His Approach to Tournament Play

by Corey “Missing Person” Lanier on November 8, 2016

 

 

 

Zhuojun “シャオハイ” Zengは現在プレイしている全てのゲームでランキングを駆け上がっている。明らかに彼は今年ハードに取り組んでいるし、それをプレイで見せている。KOF XIVとストVで1、2を争っており、事実、彼の勢いは止められない。

 

カナダカップの進行の中で、私はチームQanba Douyuのシャオハイと点心を囲む機会に恵まれた。そして、ハイレベルなプレイヤーが持つ偉大な特質として、彼の視点について幸運にも垣間見ることができた。


 

Missing Person(筆者。以下”MP”と表記):今年は非常に活躍されています。(*カプコンカップのサーキットにおいて)今まででベストな年だと言っても良いでしょう。成功している要因は何でしょうか。

 

シャオハイ

「私はキャミイの持つアドバンテージと能力を非常によく利用できたからだ。それに加えて、梅原大吾、Infiltration、ももちなどのトッププレイヤー達を調べるために時間を割いているのもある。彼らの性格と、それが振る舞いに対してどう表れるのか、といったことに関してだ。彼らが並外れて良くプレイしていないことも何度かあるが、それでも格下のプレイヤーが彼らと対峙したときに、トッププレイヤーと戦うことを恐れてしまう。」

 

MP:ということは普段とは違った姿勢でプレイしているということですか。

 

シャオハイ

「取り組みや姿勢が変わったのではなく、トッププレイヤー達と対戦することで対戦スタイルが変わったんだ。もし自分より格下のプレイヤーと戦う時、彼らは自分たちが恐れていたり、ハメられてると感じる状況に持っていこうとする。なのでこちらは、適切な距離をとり、やりがちなミスを防ぎ、それらに注力していればいい。しかし、トッププレイヤーと対峙した時には、アグレッシブに動かねばならないプレッシャーを受けることになる。なぜなら、トッププレイヤー達に燻しだされるように感じるからだ。そうなってしまうと、ミスする余地が増え、高リスクな動きをしてしまいプロ連中の餌食になってしまう。私がやろうとしているのは対戦相手をそういった状況に持っていき、燻りだされ、動かねばならないプレッシャーのもとに置くことだ。そうして、彼らは私にとっての好機に飛びついてくれる。」

 

MP:あなたは既にストVで実績を見せています。KOF XIVがリリースされましたが、そちらでも良い成績を残しています。今作に関する印象はどういったものでしょうか。

 

シャオハイ

「私にとっては普通、だね。個人的にはKOF XIIIよりも良いゲームだとは思わないよ。」

 

MP:では、もし許されるなら、KOF IVよりもXIIIをプレイしますか?

 

シャオハイ

「KOF XIIIのことは大好きだ。最新作は、技を当てて、それからコンボして、相手が死んでいる、そういうゲームだ。XIIIは連係や補正切り、コンボのできる余地がより大きいので、より一層対戦相手を読まなければならない。加えて、XIIIのゲームスピードはXIVよりも速い。その点も好きなところだね。」

 

MP:2週間前、あなたはSoCALに出場して、KOF XIVとストVの両方で優勝しました。双方のグランドファイナルについて振り返ってみると、たくさんの才気の片鱗を目にすることができました。まずはKOFでReynaldと対戦したものについて触れていきましょう。Reynaldはあなたをルーザーズに落としました。どのように対応し、Reynaldを完全に機能不全にしたグランドファイナルに繋がったのでしょう。

 

シャオハイ

「ウィナーズで彼に敗れた後に、友人と練習してミアン対策を教えてもらったんだ。敗れた時、他のキャラは対策ができていた。でも問題はミアンだった。ダイブキック*1のプレッシャーに負けていたんだけど、練習することで、ダイブキックのプレッシャーからガードしても思っていたより影響がないことに気づいたんだ。Reynaldがダイブキックを使って削るガードゲージよりも、回復するゲージのほうが多いことが理由だ*2。彼は私がそれを知らずに恐れていることにつけこんでボッタクっていたんだ。だから一度ガードゲージは安全なことを知ってからは、彼が不用意な行動をしてくることを待っていたんだ。」

 

(*1:”dive kick”。ミアンの場合は「美宴弓」からの派生攻撃のこと。一般的に、ユンの雷撃蹴など、空中から急降下する蹴りのこと全般を示す。性能にもよるが2D格闘ゲームでは基本的に強力で、『DIVE KICK』というゲームが作られたほど。
*2:KOFにはガードゲージが存在しており、一方的に攻撃をガードしているとガードゲージが減少していき、枯渇すると無防備なガードクラッシュ状態になってしまう。そのため、ガードを嫌って動かざるを得なくなる。この場合、ミアンが攻撃でガードゲージを削っても、ミアンの動きが大振りなためすぐに回復しきってしまうことを指している。)

 

MP:Raynaldが大将をチンに変えたことは影響しましたか?

 

シャオハイ

「チンに変えられて最初のラウンドの後、彼のチンを『ダウンロード』して分析し終えることができていた。」

 

MP:ストVでは、ウィナーズファイナルでは簡単に負かしていたハイタニに、リセットをもぎ取られました。何故そういったことが起きたのでしょうか。

 

シャオハイ

「何故なら、私はグランドファイナルでウィナーズ側にいたからだ。よりリラックスし、かつてほど深刻には捉えていなかった。最初に対戦した時ほどプレッシャーを感じることも、自分からアグレッシブになることもなかったんだ。最初のセットでは、彼は接近と攻撃のアプローチを変えてきていたのだが、セットの最後では彼に対して調整できていた。なのでリセットの後、ハイタニにアプローチを覚えておかせておいて、一方で私はスイッチを切り替えたんだ。そして私が彼にそうするように仕向けた行動すべてにカウンターをぶつけることができた。彼が安全だと思っていたことを安全で無くしたんだ。彼は毎回持続重ねをしてきたが、無敵技でリバーサルするだけで良かった。」

 

MP:カプコンカップのプロツアーポイントランキングで2位です(*この記事が出た段階では6位です)。みんながあなたを見上げている位置にいることはなにか意識を変えましたか。

 

シャオハイ

「改善できるところはどこか、そしてハイレベルなプレイでの心理戦により注目するようになった。」

 

MP:カナダカップで楽しみにしていることはありますか。そして誰と予選で当たりたくないですか。

 

シャオハイ

「現時点では誰とでも戦うよ」

 

MP:ランキング1位のInfiltrationであってもですか。

 

シャオハイ

「私にとっては、練習にすぎない。恐れる必要はない。多くの人々はInfiltrationがランクを落としていると考えているが、私もそう思う。彼らはこのところ、どうやってInfiltrationと向き合えばいいかわかっている。例えば、EVOや多くのイベントで、彼は横並び対戦において相手のスティックを見ることで、なにをやっているのか知ることができた。チームトーナメントでInfiltrationを見ていたけれど、対面形式*3の対戦で彼はそういった情報に頼れなくなっていたんだ。そんな感じで、Infiltrationは悪戦苦闘しているよ。」

 

(*3:対面形式。横並びと違って、2台のモニターを背中合わせにセットして、ゲーセンの通信対戦台のようにプレイヤーが反対側に座って対面する形式で対戦すること。横並び対戦より外部的な要因を排除できるが、モニターが2台など余分な機材が必要である、スペースを多く使う、など運営面とのトレードオフが生じる。)

 

MP:確かにその通りです。Infiltrationは「ストリートファイターVクラッシュ」では苦戦していましたが、EVOではいい成績を残していました。この対戦形式はあなたにも影響を与えますか。相手のスティックを見たり、あるいはいつでも対面形式のつもりでプレイしていますか。

 

シャオハイ

「私は対面形式の方がアドバンテージが大きいよ。何故なら、相手は私の入力を見られないので対応できない攻撃を繰り出すことができるからだ。横対戦のときもそういった攻撃を出すけれど、対戦相手がスティックを見て私がやろうとしていることを知るので、対応する時間を与えてしまう。」

 

MP:つまり、対面形式の方をはっきりと好むわけですね。

 

シャオハイ

「間違いないね。それに、対面形式が私が中国のアーケードで育ってきた方式だから、そんな贅沢ができなかったプレイヤー達よりも慣れている。そして、中国の大きなトーナメントも対面形式で運営されてるので慣れているのもある。」

 

MP:カプコンカップに出場する上で、今年のチャンスはどれぐらいあると思っていますか。

 

シャオハイ

「50:50(*半々)ってところだね」

 

MP:個人的にはもっと勝算があると思っています。

 

シャオハイ

「誰かにあなたの以前の記事(*未訳)を見せてもらったよ。とても長く、私の英語が拙いせいで全ては理解できなかったが、とてもポジティブに書かれていたのはわかった。」

 

MP:あなたのキャリアはKOF98、闘劇2007で優勝するところから始まりました。闘劇で優勝した最初の外国人ではなかったにせよ、その一人としての気分はどういったものでしたか。

 

シャオハイ

「非常に神経質だったよ。そのせいでベストを尽くすのが難しかった。多くのイベントは複数試合先取・ダブルエリミネーション方式で運営されている。そのおかげでプレイを調整する時間を得ることができる。しかし(*闘劇のように)1試合先取のシングルエリミネーション方式だと、プレイしたことがない対戦相手に勝たねば即敗退だった。そのプレッシャーのせいで、ベストの調子でプレイすることはとても難しく、タイトル獲得への挑戦は非常に神経質なものになっていた。」

 

MP:シーンに現れている新しい中国のプレイヤーについてはいかがでしょうか。Abao、Weili、Jiewaなどの選手が現れ、がんばっています。将来的に中国勢は格闘ゲームで活躍するのでしょうか。

 

シャオハイ

「もし彼らがより多くのイベントに出場し、より多くのプレイヤーと対戦したなら、大会では活躍できるようになるだろう。私については、SoCAL直後に中国に帰ったにも関わらず、SoCALから練習ができていない。頻繁に練習するチャンスが得られなかったけれども、なんとかして賢く練習する時間を捻出したい。」

 

MP:トッププレイヤー達と戦うことで、常にトップレベルで戦わねばならないことを知り、あなたをフレッシュに保ってくれることはありませんか。

 

シャオハイ

「必ずしも私のスキルを磨き続けなければならないわけではない。何故なら、一度学んでしまえばスキルは研ぎ覚まされたままだからだ。それより対戦相手の裏をかくメンタリティを維持することが必要だ。ストVにおいて学んだ最も大切なことは、相手にどれだけ攻撃を加え続けるかよりも、守備的な視点に立ち、いつガードして、いつカウンターするかを知ることである。それだけではなく、可能ならば常に最大ダメージを与えようとすることも大切だ。多くのプレイヤーが『自分が攻撃しないと、相手に攻撃されてしまう』という考えを持っているのか断言するには充分ではないが、そのような考えは多くのプレイヤーに破滅をもたらす。」

 

MP:そういったメンタリティは、プレイヤーがトッププレイヤーに対してアグレッシブに出ることで自身を証明しようとすることが根幹にあると思いますか。

 

シャオハイ

「そうは思わない。単に攻撃しないと攻撃されると感じているためだと私は考えている。そしてそういう考え方は非常に不利な状況でもアグレッシブにしてしまう。孫子が『孫子兵法』で言っているのと同じだ。退却せずにいて、そうすると相手が攻めてくる。あるいは攻撃して、対戦相手をコーナに追い込んで攻撃しないといけないと感じるように仕向ける。そうすることで相手を絶望に突き落とすアドバンテージを得ることができる。」

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