【翻訳記事】 SNK vs 貧困 (オロチナギ.com記事)

元記事:SNK vs Poverty

(*以下に書かれている記事には過激な表現が見られますが、あくまで著者個人の意見です。)

「貧困(poverty)」とはいろんなイメージができる単語だが、それは人によってまちまちだ。私については、“Poverty game”という、レトロゲームやちゃちなゲームを指す単語を思い起こさせる。しかし、「貧困」には真剣な面もある。SNKから無視されているが、それは「PC版を頼む!」という、人々の真剣な懇願だ。彼らは対立する側になってもおかしくないし、実際なっている。そして同時に、もう一度SNKへの呪いともなり得るのだ。

人々は貧しいゲーマーのことを忘れがちだ。人々はいろんなことを想定しがちだ。それにはPC版を望んでいる人々は海賊版をつくりたいだけなのだろう、という憶測も含まれる。そういったことを考えるのが許されるケースと、許されないケースがある。

ちなみに、このことについて一部は私がちょいと飲みすぎ、脱線しまくって荒れたポッドキャストで聴くことができる。PRletによってアップされたポッドキャストは以下だ。KOF XIVの将来、そしてSNKの行った過去そして現在の選択がその内容だ。メンバーにはDesmond、EXWildWolf、Fussoが参加している。是非チェックしてくれ。

ともあれ、議論に戻ろう。

先進国の良い家庭、教育、住宅に恵まれたティーンネイジャーを想像して欲しい。その子は定価のゲームを買うか、おしゃれな洋服を買うかの選択に直面している。その子は違法ダウンロードをするだけの技術的な知識もあるとしよう。私だったらどうするかわかっている。実際、違法ダウンロードは許されないことだが、私は資本主義のブタのように強欲なのだ。本物のゲームを買うことで保証されるのはオンライン関係のものだけだが、ほらみろ、オンライン関係についてもクラックされたものがあるぞ。これはXboxやPS3で見られたケースだ。Xbox oneとPS4はその点については対策されており、私のサブスクリプションからゲームまで、すべてきちんと金を払ったものだ。いろんな要因によって家庭用版コンソールの売上はさほど芳しくないものの、タイトルの独占や海賊版の排除によってゲームメーカーは利益を上げている。しかし、ゲームそのものと取り巻く熱気はどうだろう?大量の貧しいプレイヤーを擁するファン層、より幅広いKOFコミュニティについてはどうだろう。SNKは彼らをケアするべきなのだろうか。それがどういう違いを生み出すのだろうか。

先進国のフェンスの向こう側、発展途上国においては家庭用ゲーム機は現地で買える車ほどの値段(*どこの国の車の値段か定かではない)がする。例えば、SNKがその巨大なファン層に敬意を払っているブラジルにおいて、多くのファンはPS4を買うことが出来ない。単純に莫大な税金がかけられているからだ*1。PS4の価格はそれらの課税によって本来の倍に膨れ上がる。PS4発売当初は1,800米ドルもしていた。

その地域で流通していないとすると、輸入する必要が出てくる。しかし、そうすると関税がかかってしまう。逃げ道はない。この点からするとPS4は問題外だ。ブラジルではPCがゲームの主力フォーマットとなっている。

追記:現在ソニーはブラジルの近くで組み立てを行うことで、関税を軽減し、価格の引き下げに取り組んでいる。アルゼンチン・ペソとの為替レートの関係によって、価格はいまや1,000米ドルだ*2。そして個人輸入も期待できない。いまだに多くの負担がかかってしまう。ここで、(*当時の米ドルレート換算で)価格が高いPS4の国のチャートを見ることができる。

(*1:ブラジルでは自国の工業を守るため、輸入する際にかかる関税の他に「工業製品税」、「商品流通サービス税」、「社会統合基金」、「社会保険融資負担金」、「商船隊更新追加税」などの税金がかかる。特に「商品流通サービス税」は付加価値税としての役割を果たし、国内外製に関わらず、「贅沢品」として認定されると高くなる(参考)。 追記:自動車も「贅沢税」がかかるので価格は高いようである。

*2:南米でPS4の「組み立て」を行うことで一部の関税を減らすことに成功しているが、パーツは輸入することになり、また、商品流通サービス税は変わらず「贅沢品」としてかかるので劇的に値段を下げることには成功しても、基本価格は高いままである。)

ブラジルではPCを製造していることも、PC市場がOKな理由の一つだ。店で買うと、すぐに使えるPCがWindowsとGTX750付きでだいたい2,400レアル(750米ドル)前後で買える。もし、個々のパーツとソフトウェアを別で買うなら、本体は1,750レアル(520米ドル)前後にまで下がる。明らかにお手頃な価格になる。この方法でも安価ではないが、しかしPS4と同じパワーのマシンが半額で手に入るのだ。どちらを選ぶかは明らかだ。

フェンスのこちら側、特権的な先進国の側に戻ってくると、人々は貧困でお金がないことについて理解していなかったり、すぐに忘れたり、気にしなかったりする。もちろん、先進国でも様々な理由で職を得られない人たちがいる。しかし、彼らは笑われ、古物市場で買った古い任天堂のゲームを遊ぶようにつげられるべきなのだろうか?

NEO GEO自体が高級なコンソールであったことを忘れてはならない。貧しい人々がそれをプレイできたのは海賊版と、古くなってから後々輸入されてきたソフトのおかげである。あなたがプレイしていたのはどのバージョンか思い出してほしい。それは正真正銘の純正のアーケードロムだったかい?それとも“ローディング時間を経た”輸入版だったかい?もしかすると海賊版だったかもしれない。それでSNKは破産した。SNKの倒産について海賊版を責めるのは簡単だ。しかし、そもそも最初から手に入れることができない商品について、海賊版で売上が失われたと言えるだろうか?貧しい人にとってはそのとおりだろうが、より裕福な人々の中に海賊版をプレイしていた人がいるのは確かだ。もちろん、SNKのNEOGEO CDやNEOGEOポケット、ハイパーNEOGEO64などの投資の失敗も忘れてはならない。いずれにせよ、ハードウェア事業から撤退することでSNKは生まれ変わり、今やゲーム開発としてより良い道を歩んでいる。セガのように。これらの動きがあった中でも人々はKOFをプレイしてきたのだ。お金を払っているかいないかに関わらず。

KOF13がリリースされ、寂れ、家庭用のためにアップデートされ、最終的にアーケードもアップデートされた。そして今や再び寂れている*3。

(*3:個人の意見と地域に依る。)

我々はEVO2012を訪れ、MAD KOFとBALAの決勝を目にした。歓声と観客、視聴者の数を思い出してほしい。そのうち何人が貧しい背景を持っていたのか、そのうち何人が海賊版プレイヤーだったのだろうか。観戦者は9,000人におよび、波及効果を持っていた。ゲームへの注目度は上がり、売上も伸びていった。

格闘ゲームイベントの売り上げへの影響を測るのは難しいが、数字に見て取ることができる。KOF13は2013年にSteam版が発売され、とてもよく売れた。セールやクラッキングでの入手を除いて、今日までに42万人のユーザーが購入した。比較してみると、Steamでは『Guilty Gear Xrd:sign』は8万2,000人のユーザーが、『ストリートファイターV』は22万人のユーザーが購入している。これらのタイトルはそれぞれどれだけ長く販売されてきたのかは考慮されねばならないが、利益とファン層の拡大が確実に海賊版を超えていることが見て取れる。

しかし、未だに不可解なことがある。

なぜファンはKOF XIVのSteamでのリリースを求めながら、エミュレーターでKOF2002無印(*以下、「02無印」と表記)、KOF13をプレイしているのか?

我々はFightcadeのチャートでブラジルには巨大な02無印のプレイヤー層があることを知っている。400名ものプレイヤーが「貧困」ラインでボタンを擦っているのだ。彼らは果たしてKOFコミュニティを代表しているのだろうか?一部分はそうであろう。

Steamにおいて、KOF13のオーナーは42万人以上いるものの、先の2週間で11,000人以下のプレイヤーがオンラインでプレイしていた。その中でブラジルでいまだにKOF13をプレイしているのは13%(約1,400プレイヤー)を占める。中国とアメリカが18%と群を抜いている。

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※図は元記事より転載

問題は、KOF13をSteamに導入することは02無印プレイヤー達を「タダ乗り」からおろしたのかということだ。この点は明らかになっていない。02無印プレイヤーは02無印を愛しているし、KOF XIVやKOF2002UMでさえもプレイしない様々な理由がある。この点は3rdや餓狼MOWなどの純粋主義者と同様であろう。技術的な制約もあるだろう。エミュレーターはもちろん違法だが、Steamのクライアントよりもより挙動が軽く、負担が少ない(さらなるアップデートがSteamに来るなら最高だ!)。拙いインターネット設備しかない場合、彼らに選択肢はあるのだろうか?彼らが最大限努力して得られるマシンが「サポート外」のスペックであることを誰が責められようか。彼らのハードウェアは、ましてやインフラが、KOF XIVのグラフィック出力やハイスピードなネットコードのゲームをカバーできるとはとても言えないだろう。

しかし、SteamでKOFをプレイしている何千人ものプレイヤーのことを鑑みれば、Steam版を出すことは「明らかに」良いアイディアだ。Steamの02UMは12万人の購入者がいて、6,000人が先週プレイしていた。そしてブラジルプレイヤーが24%を占め、トップであった。アメリカが17%、日本が10%と続いている。そして気づいたのは、日本のプレイヤーでKOF13をプレイしている人はいないことだ(*0.01%を切っている可能性もあるので、「全くいない」とは限らない)。早く知りたがっているとは思うが、KOF98UMFEの購入者は11万人で、4,000人が先週プレイしており、そこでもブラジルのプレイヤー数がトップであった。

ブラジルのファンの1人であるFussoは最近の投票でブラジル人のKOFへの愛が明らかになり、彼らは無視されるべきではないと指摘した。ブラジルで全ての格闘ゲームキャラクターの中で人気投票が行われたが、誰が一番になったと思う?3位はスコーピオン(*『モータル・コンバット』シリーズ)、2位は豪鬼(*『ストリートファイター』シリーズ)、そして1位はレオナだった!庵は4位か5位だったはずだ。

なぜSNKはKOF XIVをSteamに導入する開発費用を用意しないのか。オンラインプレイが全てではない。上記の数字はオンラインプレイのみの数字ではなく、ログインしてプレイしたことをカウントしており、一人プレイもカウントされている。これはオンラインに人がいないからといってゲームが「死んだ」ということにはならないことを示す。

しかし、私は公式の代弁者ではないが、Steam版はソニーに対して反目する行為になる恐れはある。家庭用機のシェア争いは今でも加熱している。家庭用ゲーム機の売上は(前世代と比べて)少なくなっているので、各メーカーは消費者の囲い込みに奔走している。「Xbox 360はあと2年以上戦える」と発表したその数カ月後にXbox Oneがお披露目された話を誰か覚えているだろうか?PS4スリムがPS4 Proと同時にお披露目されたのは覚えているだろうか?これらの会社は今まで以上に排他性が求められている。ソニーがSNKにプロモーションを肩代わりするかわりにPS4独占を提案したのは明らかだ。我々はソニーがこれらの縛りを放棄して、より多くのファンの群れの手に取ってもらえるようになることを祈るしかない(しかし、そのうちの多くは自分の低スペックPCでゆっくりしか動かないゲームを見て悲鳴を上げ、怪しげなバグや貧弱なネットコードに「クソッタレ!」と毒づくハメになるのは間違いないけどね(笑))。それでも裕福でないファンにとってPS4には手が届かないので、裕福でない国々にもゲームを届けるために彼らの熱気をサポートせねばならない。人々はあまりにも数字に左右されすぎている。

SNKには実際、より高級なゲームを開発する余裕はないだろう。どれだけお金がかかるかこれまでの経緯が教えてくれている。さらにぶっちゃけて言えば、彼らは買える相手にゲームを売っているのに、DLCを販売しないのは一体全体どういうことなのか。SNKはゲームを改良するのに多額のお金をかけ、今やワールド・チャンピオンシップ、代表者を東京、そして中国のグランドファイナルに招待するものにもお金をかけている。これは本当にファンを喜ばせているが、実際に会社の利益になるのだろうか?この文章を読んでいる人は皆、SNKに成功してほしいと思っているだろうが、貧しいゲーマーたちを無視したところで何の助けにもならない。そしてもちろん、海賊版のファンだってファンには変わりない。彼らは金銭的にSNKを助けることはできなくても、心意気で助けることはできる。そのようなゲーマーたちは動画やテクニックのアドバイスなどでコミュニティに貢献することができる。このことがよりコミュニティを強くし、ゲームの熱気を増やしていくのだ。我々は、1月に来たる1.10パッチと、さらなるタイトルを楽しみにしている!

(後略)


様々な視点から見ることが大切だ、といった感じの記事でした。

ブラジルの海賊版事情や02無印事情などは、元記事のコメント欄からもうかがうことができます。(筐体の写真が掲載されたり、KOF13がコミュニティに残念ながらあまりインパクトを与えなかったことについてもブラジルのファン視点で書かれています。)国ごとの貧富や制度の差はこういった部分にも影響している、という視点が勉強になる記事でした。

あまりに全方位射撃が行われているので、私から付け加えることはあまりありませんが、「ファンがゲームやコミュニティにとってやれることをする」はどの位置のファンにおいても大切だとは思わされました。コンテンツの自主的な「盛り上がり」は金をかけたからといって必ずしもできるものではありません。単に利己的に消費するだけでなく、いろんな楽しみ方でタイトルの価値を上げていくことがいかに強力で大切か、2016年は痛感させられました。それは対戦環境でも一緒だな、と。いろんな方法で対戦が楽しめる場をこれからもつくっていければ幸いです。

追記:日本でも、ゼロから集めるとなると、

・新品のPS4

・モニター

・ソフト

・アーケードスティック

・人によっては高速回線

と必要になるので相当な出費ではあります。さらに金銭面だけでなく、家庭の事情などで家でゲームができない人もいます。そういう側面でも、アーケード化が望まれていたところが「Steam版を望む声」と似た側面がある気はします。もちろん、そうでない側面もあります。

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