【翻訳記事】Core-A GamingのGerald Lee氏が語る格ゲ―シーン今昔(インタビューPart2)

先日記事にしておりましたCore-A GamingナレーターのGerald Lee氏へのインタビューの続編です。

元記事:The Modern FGC vs. the Old Days–Get to Know Even More about Core-A Gaming’s Gerald Lee (February 15, 2017)

Core-A GamingのGerald Lee氏に前回インタビューをしたときには彼の韓国コミュニティに対する独自の視点を紐解いた。しかし、Lee氏は格闘ゲーム全般に対して、独特な視点を持っていることで知られている。その大部分は、彼の人生において、世界の様々な地域に住んだことがある経験によって培われていた。

このインタビューでは、Gerald氏個人として話を聞くだけでなく、彼が動画で語っていない話題まで触れていく。

Corey “Missing Person” Lanier(*引き続き、以降「聞き手」表記):それなりの期間、格闘ゲームコミュニティに興味を持ってきたようですが、真剣にプレイし始めたのはいつからでしょうか?

Gerald “mintcheerios” Lee(*引き続き、以降「Gerald」表記)「私はいわゆる『09年組』*1だよ。もちろん、ストリートファイター自体は昔からプレイしてきた。でも競技的にプレイすることは考えてなくて、昔はただひたすら沢山プレイしてきたんだ。2009年になって『スーパーストリートファイターIV』が出てから、トッププレイヤーをフォローするようになった。そしてもちろん、梅原大吾の全ブロッキング動画*2も大切な要素だったよ。私がずっとプレイしてきたゲームでのハイレベルなプレイを観ることで、とても感激させられたんだ。

その頃、私は中国のとても辺鄙な農村部に住んでいて。小さなトーナメントを開催しようとしたけど、2人しか集まらず、しかも彼らはKOFプレイヤーだったんだ。でもそうやって、私は競技的な心得を得たんだ。私はどこに行ってもシーンを作ろうとしたし、ゲームを続けようとしてきた。」

(*1:英語では“’09er”と表記する。2009年の家庭用『スーパーストリートファイターVI』からプレイを始めた人のことを指す。
 *2:https://www.youtube.com/watch?v=JzS96auqau0)

聞き手:中国に住んでみて、シャオハイやダーコウのようなプレイヤーは地域的に得をしているか、損をしているか、どう考えますか?

Gerald「まずはっきりしているのは、海外のイベントに参加するためには特別ビザ*2を取らなきゃいけないこと。これは間違いなく障害となっている。それを除けば、彼らはとても沢山プレイできているだろう。ただ、彼らが住んでいる場所のプレイシーンがどうなっているかはわからない。

例えば、私が住んでいた場所は大学がある農村部だったので、ストリートファイタープレイヤーは多くなかった。そのおかげでKOFをプレイすることになった。これはシャオハイやダーコウでも同じだ。特にシャオハイはKOFでトップにいることで知られている。ストリートファイターCrashで彼にインタビューしたとき、彼はストリートファイターよりもKOFの方が好きだと答えてくれたぐらいだ。KOFは中国が得意とするゲームなので、自然なことだ。

しかし個人的には、シャオハイがストリートファイターをプレイしてくれるのは嬉しい。彼の一番でないゲームでも、彼の才能を見られるのは素晴らしいからだ。」

(*2:中国はビザを免除する相互協定を結んでいる国が少ないため、大会が開かれている多くの国に行くのにもビザを申請する必要がある。さらに、一般の人間にとってはビザの申請にもハードルがある。)

聞き手:あなたはテキサスで育ったそうですね。そしてアーケードで育ったともおっしゃっています。アジアに引っ越す前に何らかのトーナメントに出場したことはありますか?

Gerald「いいえ。私が中国へ引っ越したのが2009年あたりなんだ。私がアーケードに行っていた頃は、子供用のゴルフコースにあった『ストリートファイターⅢ 3rd Strike』の筐体で小さなシーンができていた。そこには常連は今でもわかるだろうけど、トーナメントができるほど大きなシーンではなかった。

そこでは『試合』はなかったけど、それでも楽しかった。アーケードで育ってきた人達は同じような体験を共有していると思う。母からもらった数枚のコインで、大抵格闘ゲームをプレイするもんだから、勝とうとしないとより多くプレイできなかったんだ。今行われているような競技はしていなかったけど、間違いなくそれは試合だった。なんせアーケードでの試合は小さなマネーマッチのようなものだったから。筐体にコインをこれ以上突っ込まないで済むようにプレイしていく、それが格闘ゲームの文化を洗練していったんだ。」

聞き手:あなたはアーケードシーンの衰退がプレイヤーのメンタリティを変えたと思いますか?

Gerald「間違いないね。ストリートファイターは他のスポーツと比べるとそれほど歴史はないけど、人々が『我々の頃はかつて…』といえるぐらいには古い。このことはe-sportsについて口にする人々にとっては変に聞こえるかもしれない。もちろん昔からシーンにいる、Alex Valle*3やJohn Choi*4といった古くからのプレイヤーの昔話や、競うために何をやっていたかといった話も、新しいプレイヤー達を楽しませてきたと思っている。でも、そこには間違いなく文化的な分断があるんだ。昔はトレーニングモードなんか無く、コンボを練習しようとしたらCPUと戦う必要があった。CPUのイージーモードは、ちょうどトレモのダミーみたいなものだったんだ。

私はかつてジャスティン・ウォンが『Chinatown Fair*5』に行って、CPU相手にコンボを練習していたと読んだことがある。CPUはある種動くダミーみたいなものだった。それが今やどうだろう、トレーニングモードのダミーは自分の好きな動きをレコーディングして、起き上がりやガードした時にも再生する事ができる。こんな機能のことを考えると、間違いなく分断は存在している。」

(*3:Allex Valleはアメリカの古くからのストリートファイタープレイヤーで、『ストリートファイターZERO3』では梅原大吾との日米対決のアメリカ代表でもあった。現在もプレイヤーかつコミュニティリーダーとして活躍しながら、Level upを主宰し、WNFという毎週開催の大会を提供している。
 *4:John Choiもアメリカの古豪ストリートファイタープレイヤー。
 *5:Chinatown Fairはニューヨークの中華街に存在していた、格闘ゲームのトッププレイヤーが通っていたことで有名なゲームセンター。1944年創業、2011年に閉店するまで続いていた。2012年からリニューアルされて営業再開、Chinatown Fair Family Fun Centerと名前を変えている。
参照:http://www.nytimes.com/2010/08/05/fashion/05Chinatown.html)

聞き手:今の環境の方がより良いと思っていますか?最近のプレイヤーのメンタリティは劣っている、それはオンラインでプレイしていてプレイする度にコインを失っていないからだ、そんな議論が沢山聞かれるからです。

Gerald「確かにいくつか異なることがある。プレイヤーにとって現在の環境はより良くなっていると思う。家庭用版を買えばいくらでも好きなだけプレイしたり、セットプレイを練習できたりする。しかし同時に、投資障壁は低くなったとはいえ存在する。一方アーケードでプレイするときには、物理的に家を出なければならない。子供だったら、両親にアーケードに連れて行ってくれるよう説得しなければならない。さらに、アーケードに行ったとしても、全く自由な存在というわけにはいかない。人と話さねばならなかったからだ。

今日では、さらに匿名化が進んでいる。もちろん、切断厨から人々を守る仕組みがあることはわかっている。でもオンラインをプレイする時、人々はこう思うんだ。『何やったって構いやしないだろ?』って。とはいえ、全体としては、より多くの人々がプレイしている点で環境は良くなっている、と思う。しかし同時に、格闘ゲームが必ずしも合っていない人を獲得することとなっている。」

聞き手:(*下手なのに)「文句しか言わない人々」のことですか(笑)?

Gerald「そうだね(笑)。とは言うものの、より多くの母集団を得ることは良いことだ。例えいくらかがしょうもない戦術に対してブーブー文句を言っていたとしても、だ。昔だってそういう連中はいつでもいた。でも、ゲームを割引価格で買ってオンラインでプレイできる現状が、ゲームに対するコミットメントを減らしてしまった。それはある面では良いことで、より多くのプレイヤーの参入を許す。でも多くの場合、感情的に格闘ゲームに向いていない人も招き入れてしまっているんだ(*だから昔よりメンタリティが劣って見える、という文脈)。」

聞き手:あなたはアメリカで形成期を過ごしてきたのですね。そして中国に移り、それから韓国に移った。なにが要因となって移ったのでしょうか?

Gerald「私には韓国に住んでいる家族がいたので、韓国に来たんだ。中国語を学ぶための中国での生活の後、ここで少し休憩を取っているんだ。フリーランスで映像関係の仕事をしてお金を稼いでいたんだけど、最終的に映像会社としてやっていくことになったんだ。いくつかの映画制作者と会い、一緒に小さなビジネスを始めたのだけど、それが韓国に住み続けねばならない理由となった。」

聞き手:逃げ場はありませんね。

Gerald「そうだね。でもそれでも構わない。快適なインターネットはあるし、とても満喫しているんだ。」

聞き手:あなたは動画でEVO2016が大会への初めての出場だと言っていました。

Gerald「その通りだ。でも実は2013年のEVOにも観客として、そしてミニドキュメンタリーの映像を撮りに行ってるんだ。それはまだ出来上がってないんだけど。その点について、Core-A Gamingにいっぱい時間を取られていることを恨むね。」

聞き手:たくさんのことがその間の数年で変わりました。その2つの大会における違いについて何か触れることはありますか?

Gerald「EVO2016はよりe-sportsとして提供されていると感じた。決勝はマンダレイベイホテルにステージと巨大なビジョンが設置され、ESPNも完全にストリートファイターを推していた。

そのことについてはプラスとマイナスの両面がある。競技に関する考え方は、常に格闘ゲームコミュニティ対 e-sportsという見方があるけれども、私はそれぞれにメリットがあると感じている。そもそもe-sportsに向かっているのは人気が増しているからで、それは自然かつ不可避なものなのだ。そしてある人々は、e-sportsに向かうことで格闘ゲームコミュニティとしての文化が破壊されてしまう、そう考えていることも感じる。

例えe-sportsとなっても、私はそれらのゲームをプレイし、シーンを探し、また作ろうとするだろう。しかし、e-sportsがコミュニティにもたらしたのは、既に行われていることだが、より大きくなったゲーム会社やスポンサーによる金銭的な支援だ。かつてゲームに時間がかけられなかったプレイヤーがスポンサードされることで、最終的に時間がかけられるようになった姿を見たことがあるだろう。格ゲーコミュニティ的なやり方にもe-sportsにも長所と短所がある。でも、人々は『清貧な格ゲーコミュニティ』と冗談を言うが、貧乏ほどつまらないものはない。」

聞き手:我々がゲームを始めてから年月が経っています。プレイのレベルアップはどのような具合ですか?

Gerald「ゆっくり、かつ停滞気味だね。この点に関してCore-A Gamingに再度文句を言いたいよ。そのYoutubeのチャンネル制作を言い訳にしてるだけだけどね。でも韓国に住んでいることで私のゲームプレイは非常に向上した。オンライン対戦が快適だし、人と会ってゲームに関する話ができるシーンがあったことも非常に大きい。私はなぜ日本人は伝統的にストリートファイターでとても強いのか常々疑問に思っていたが、アーケード文化がゲームをプレイするだけでなく、ゲームについて顔を付き合わせて話せる環境があったからだったんだ。」

聞き手:次の動画はいつになりますか?

Gerald「ええと、いまひとつ取り掛かっているところだ。すぐに出せるとは言わない。すぐに済んだ動画はひとつも無いからだ。でも我慢強く待ってくれている人々のおかげだから、可能な限り早く出すようにするよ。」

聞き手:誰か、特に感謝を伝えたい人はいますか?

Gerald「何よりもまず、Drakefang*6の韓国コミュニティへの献身に感謝したい。もちろん、韓国にいる全てのプレイヤーに感謝したい。特にLaughやInfiltrationにはチャンネルを助けてもらっている分感謝する。加えて、私の行く先々で会ったすべての人に感謝したい。私が会えるとさえ思っていなかった格闘ゲームコミュニティの人々にも会えたし、私にとって素晴らしい経験であった。」

(*6:ソウルの『Arcade Stream』というゲームと配信ができるバーのオーナー。前記事参照)

Core-A Gamingでナレーションを務めているGerald Lee氏へのインタビュー記事でした。Gerald Lee氏は先日も調整に関する非常に明快な動画を投稿して評判になっております(翻訳記事)。

Core-A Gaming共々今後の活躍に期待しております。

1点だけこちらに書いておくことがあります。こちらで記事にしたり、あるいは他の動画に再編集するなどすると、図らずも本家のビュー数や再生数を「盗む」ケースにつながることもあり得ます。特に再生数がキーとなる動画の場合、Gerald氏のように素晴らしい動画を作る方が報われなくなってしまうかもしれません。

この点についてまったく本意ではありませんし、他の方もそうだと思います。ですので、もし翻訳記事や翻訳動画で観て「面白いな」、と思ったらお手数ですが元の英語記事、あるいは元の英語動画にぜひアクセスしてみて下さい。

素晴らしい元記事、元動画の評価向上にご協力いただければ幸いです。

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