【翻訳記事】Kane Blueriver氏が語る中南米、アルカプ、KOF世界選手権、それぞれの事情

KOF世界選手権にも招待選手として参加していた、EVO2015アルカプ部門チャンピオン、ケイン・ブルーリバー氏。そんな彼が中南米(ラテンアメリカ)の格闘ゲーム事情を中心に語ったインタビューです。ビザ問題は特にこれから目立っていくでしょうから、とても参考になります。

(*インタビューを受けたのは1月下旬です)

元記事:Kane Blueriver Discusses Marvel, Latin America, and The King of Fighters World Cup with Shoryuken(February 19, 2017)

ラテンアメリカにおける格闘ゲームプレイヤーについて訊かれた時、最初に思い浮かぶ名前はNicolas “ケイン・ブルーリバー” Gonzalezだろう。ケインは文字通りワールド・ウォリアーとして足跡を刻んできた。世界中を回り続け、『Ultimate Marvel vs. Capcom 3』の腕を磨いてきた。その功績は、EVO2015優勝を筆頭として、明らかである。彼はアルカプで確固たる評判を残しているだけでなく、KOF XIVにも精通しており、KOF世界選手権にも呼ばれている。

Frosty Faustings IX*1の際、私は彼のプレイについて、そして大部分が謎に隠されたラテンアメリカにおけるシーンの話を聞くことができた。

(*1:今年1月27~28日にシカゴで行われたトーナメント。)

Corey “Missing Person” Lanier(*以下、MP):ケイン、あなたはFrosty Faustingsのためにシカゴに来るのに大変な旅になったと聞いています。何が起きたのですか?

Nicolas “Kane Blueriver” Gonzalez(*以下、ケイン)「結構トラブルがあったんだ。スーツケースのひとつが壊れたり、週末中ずっとアーケードスティックに問題があったりといった具合で。こういうトラブルは非常によく起きるので、もはや慣れてしまった。なんとか解決策を見つけてやっていかなきゃならない。」

MP:トーナメントの具合はいかがですか?

ケイン「既にアルカプとスト5では負けてしまったよ。アルカプではUnkn0wnという最近とてもしっかりプレイする選手に負けた。今はKOF XIVのトップ8をウィナーズで待っているところだ。」

MP:KOFにはアルカプよりも注力していたのでしょうか?

ケイン「そうだね、でもそれは練習する機会を活用した結果なんだ。チリのアルカプコミュニティは小さなままだし、彼らはアルカプ専門というわけではない。チリにはより大きく、かつ強固な地盤のKOFコミュニティがあるんだ。そのため、KOFは常にチリでは鉄板のゲームだし、常に練習している人々がいる。そういった境遇の中ではKOFを練習せざるを得なかったし、より一層鍛えなきゃいけないとも思ってるんだ。」

MP:チリのKOF界隈における存在感についてどう思ってますか?

ケイン「うーん、僕はKOF世界選手権に招待で登録されてはいて。でもチリのプレイヤーが参加できた地区予選はあったのだけど、みんなペルーのプレイヤーに負けてしまった。今のところ、ペルーのKOFシーンはチリよりも遥かに強い。彼らはKOFで昔から強かったのだけど、それだけでなくて常に競争的なんだ。我々よりもアクセスできるリソースが少ないときでも、だ。彼らはいつも上達し続けるための道を模索している。ペルーには無名の強豪がたくさんいるが、ビザや旅費、その他のリソースの問題で他の予選を旅して回るのはほぼ不可能なんだ。」

MP:あなたはチリにおいて唯一、カプコンカップにさえも、遠征しているプレイヤーです。Misterioもそういった事情でカプコンカップを辞退*2しました。メーカーは通過が決まっているイベントに関してビザを取得する負担を軽減すべきだと思いますか?

ケイン「彼らがそれを助けようとしているのはわかっているけれども、でも彼らにできることは少ない。ラテンアメリカのプレイヤーは多くの場合、ビザに関わる問題を回避しようとするとイベントへの招待が必要になる。これはラテンアメリカだけの問題ではない。TSM|Leffenさえ同様のビザ問題に見舞われた。彼のチームもハードルを越えるのに奔走したはずだ。これはコミュニティがグローバル化するほど頻出し始めた問題だ。でも財力的な問題や出身国の関係で不自由な身のプレイヤーであっても、みんなと同じぐらい向上心がある。

僕は実際、2人のラテンアメリカプレイヤーがKOF世界選手権に出場するのを手助けした。1人はメキシコ人で、1人はペルー人だ。彼らの日本への旅行の手配をしたんだ。彼らはアメリカに入国するビザを持っていなかった。もしビザを持っていなかったら、乗り継ぎでアメリカの空港に降りることさえできないんだ。そのため、メキシコから日本への直行便を見つけてなんとかした。とても高くついたが、アメリカ経由という選択肢はなかった。ラテンアメリカの我々にとってとても深刻な問題だよ。」

*2:Misterioはチリの強豪プレイヤー。アメリカで行われた2016年カプコンカップ決勝に進めていたものの、ビザ問題で出場を辞退した。過去のMisterioのインタビュー翻訳はこちら
*3:LeffenはスマブラDXのトッププレイヤー。数々の大会で優勝及び上位入賞を果たしている。
彼もEVO2016に出場しようとしたが、入国審査の再審が間に合わずに出場できなかった。関連の詳しいテキストはこちら→『Redbull Japan:eSportsと米国ビザの複雑な関係』)

MP:政治的すぎる見解は別として、あなたはドナルド・トランプ大統領がサインした大統領令によって、ラテンアメリカのプレイヤーをめぐる状況がさらに制限されると思いますか?

ケイン:そうなるだろう。既にビザを得ている人々はあまり困ることはないと思う。でもこれから申請する人たちはより一層の制約を受けるだろう。

幸運なことに、我々チリは2年前からアメリカやカナダに入国する際、ビザが必要なくなった*4んだ。なのでラテンアメリカの中ではだいぶ入国が簡単な方なんだ。でもこの恩恵を受けているのは僕とTSM|ZeRo*5だけなんだ。」

(*4:チリは2014年5月1日より、アメリカのビザ免除プログラム(VWP)の対象国となった。
詳細:在日米大使館・領事館HP
*5:チリ出身のスマブラ強豪プレイヤー。EVO2015 スマブラ4部門優勝、EVO2016 スマブラ4部門3位、他優勝、上位入賞多数。)

MP:ラテンアメリカ地域において、スト5で注目すべきプレイヤーを教えてください。

ケイン「ストリートファイターなら、ブラジル勢がとても強いね。Keomaはかつてウル4で誇った強さを取り戻すために多くの努力をしている。Brolynhoのも無視できない存在であることを見せた。チリにはもちろんMisterioがいる。アメリカに入国できなくても地域レベルでは存在感を放っている。また、Baekという強豪ナッシュ使いがいる。しかし、彼は最近KOFをプレイしていたし、今どのゲームに一番注力しているかわからない。それに、Moisesというララ使いがいて、彼はチリのアルカプにおいても僕に次ぐ強さだ。シーズン2でララが強化されたので、危険な存在だと思うよ。」

MP:KOF世界選手権において、世界の人々は中国とラテンアメリカがこのゲームで最強の地域だと常に思っています。しかし、優勝するにはシャオハイという、KOF最強とみなされているプレイヤーを破らねばなりません。ラテンアメリカ最強のプレイヤーが中国最強プレイヤーに匹敵すると思いますか?

ケイン「シャオハイの特筆すべき点は、数え切れないほどトーナメントを経験してきたことだ。彼は世界中でプレイしてきた。ラテンアメリカのプレイヤーの多くは、ラテンアメリカ外に行ったことさえない。彼らにとって全く異なる環境での試合になるんだ。

僕は既にラテンアメリカの通過者が日本に渡る手助けをしてるけど、日本に渡ってからも助けたいと思う。彼らは英語も日本語もわからない。ある場所から別の場所に移動するだけでもたくさんの助けを必要とする。僕が初めて日本に行ったときのことを思い出すよ。彼らもきっと同じだろうから。

自分の地域のコミュニティを中心として活動していると、その外で何が起きているのかあまり把握できない。ラテンアメリカにおけるKOFは、アメリカにとってのマブカプ2と同じ文脈上にある。すなわち、同じようなタイプの人々のみがプレイし、そしてゲームも難しいんだ。もちろん、彼らは自身のゲーム人生において、海外の大会に出られると思ったことさえなかっただろう。だから僕は彼らを幸せにしたいし、チャンスをモノにして欲しいと本当に思っている。」

MP:アルカプ3が、EVO2017のメイン種目ではなく、プレイヤー投票枠に退いたことについてはどう考えていますか?(執筆者注:その後、枠を勝ち取りました)

ケイン「それについてはあまり気にしてない。ゲームにはそれぞれのサイクルがある。もし人々がアルカプをプレイし続けたいと思うなら、それは素晴らしいことだ。もし、人々が『Marvel vs. Capcom: Infinite』が出たからアルカプをやめたとしても、それもまた素晴らしいことだと思う。

僕の根っこは、格闘ゲームプレイヤーだ。単にアルカププレイヤーというだけではない。理由はなんにせよ、アルカプが高いレベルでより良く僕にハマったにすぎない。また、このゲームは、トレーニングモードに費やした時間の多くが報われる点も独特だ。そのおかげで僕はアルカプで強くいられた。それでも、僕はアルカプで残したのと同じだけの功績を他のゲームでも残したいんだ。

投票自体は僕がどうこうできるものじゃない。僕にできることはなにもないし、だからうろたえていない。僕が気に入らないのは、それを決めるのがコミュニティの熱意ではなく、誰が金を一番持っているか、というところだ。でも究極的には、それが現実なんだろうね。」

MP:『マブカプ:インフィニット』に対する考えを教えてもらえますか?

ケイン「今のところ、そこまでテンションは上ってないね。僕がアルカプ3を好きだったのは、やれることに終わりがなく、遊び場として非常に優れていたところだ。弱いキャラクターにおいても、他のキャラでシナジーを作り出すことで強キャラと競ることができた。それをやってのけるハイレベルなプレイヤー達がたくさんいた。EVO2016においてさえ、トップ8に20~24のキャラクターが存在していた。マブカプ2だったとしたらほんの数種類のキャラしかいなかっただろう。

インフィニットがそのレベルに達するとは思えない。ゲームそのものでは悪くはないのだろうけど、よりシンプルなように見える。他のマブカプ同様明らかに速いゲームではあるだろうけど、多様性やシナジーがアルカプほどではないのでは、と心配している。そしてよりキャラそのものの強さに基づいたゲームになるだろう。悲しいことに。でも、僕はスト5でも同じことを感じている。スト5のことは好きなわけではないけれど、僕がやりたいことを達成するには、プレイしなければならないゲームだろう。」

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