今回は、キャリアに関わらず、中上級者に唐突に現れる成長の停滞、あるいは壁を打破するメソッドに関する動画を紹介いたします。

動画内で出てくる”plateu”とは、「起伏のない広漠とした高原」のことを呼び、転じて「変化がない」「頭打ちになった」停滞状態のことを指します。動画ではこの高原を脱出するための4つのプロセスが紹介されています。

短い内容ながら非常にキレイにまとまっており、編集もおもしろいので、ぜひ元動画の方も観てください。

停滞を打破したい方、上達をしたい方のためのヒントとなれば幸いです。

 

元動画:Escaping the plateau part1, part2(novriltataki)

(※以下、画像は元動画より抜粋)

 

Part1

みなさんこんにちは。動画を観てくれてありがとう。我々は格闘ゲームジャンルの探求を行っている者だ。

我々のチャンネルのコンテンツの多くは新規プレイヤーを手助けするものだが、熟練のプレイヤーもまた困難に直面する。新しいプレイヤーのように、熟練プレイヤーも改善策がわからないまま停滞に陥ることだってある。
その専門知識や経験によって明確な障害を発見し、克服することが可能だとしても、それでもなお壁にぶつかってしまう。このようなとき、全く改善しそうにないだけでなく、どんな間違いを犯していて、代わりに何をすればいいのかも同時に理解していないのだ。
これは非常にフラストレーションがたまる状況である。解決するには複雑すぎる問題であり、慎重に扱い、徹底的に可能な切り口をカバーしようとする必要がある。

今回、我々は以下の4つの解決方法について取り上げたい。

  1. 適切なやり方を選ぶ 
  2. より注意を払って観る 
  3. 変化を強制する 
  4. 休みを取る

まずは「適切なやり方を選ぶ」ことについて見ていこう。

あなたは自分が上達したいと思っている分野に沿ったやり方でプレイしているだろうか?
知らない間に自分のキャラクターに集中してしまい、対戦相手のやることや、次にやることについて注意が疎かになっていないだろうか?


もしそうなら、自キャラのすべてが染み付くまで単純に数をこなす必要がある。そうすることで色々な状況において、考えるよりも先に適切な対応ができるようになる。

 

特定のキャラクターに対する知識が足りてないせいで負けていることに気づいただろうか?
もしそうなら、当該のキャラクターのうまいプレイヤーに働きかけて*1、練習対戦を取り付け、組み合わせについて適切に学んでみるのも良いだろう。
何度も同じ間違いを犯さないように、試合の間にポーズして質問してもいいか事前に約束しておくのも良い。

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※対策練習をお願いするまでの社会的手続きは、きっちり踏むことをおすすめします

特定のキャラクターに対する知識が足りてないせいで負けていることに気づいただろうか?

もしそうなら、当該のキャラクターのうまいプレイヤーに働きかけて、練習対戦を取り付け、組み合わせについて適切に学んでみるのも良いだろう。何度も同じ間違いを犯さないように、試合の間にポーズして質問してもいいか事前に約束しておくのも良い。

 

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馴染みがないプレイヤーの馴染みのない動きに対してすぐに対応できないことで負けていないだろうか?
もしそうならば、長い対戦よりもたくさんの異なる対戦相手とマッチングできる、より短い対戦が必要になるだろう。人気のある格闘ゲームでないと、オンラインで様々な人と快適にプレイするだけの充分に大きなプレイヤー人口を持っていないのは悲しいことだ。

 

大会環境のように、プレッシャーのもとでは普段どおりの力が発揮できないことはないだろうか?
この問題への解答はシンプルだ。プレッシャーのかかる環境でプレイする練習をすることだ。スケジュールやネットワークが許す範囲で、可能な限りローカルな大会に足を運び、オンライン大会に参加しよう。
そうすることでシーンを支えるだけでなく、プレッシャーのもとで、異なる対戦相手にすばやく対応せねばならない価値ある練習環境を手に入れることができる。
別のやり方はマネーマッチ*1を行うことだ。しかし、実際にお金をかける必要はない。
目的はトーナメントのプレッシャーに近い状態をシミュレートすることなので、負けに対して支払うなにがしかの対価を自分で設ければ良い。
あなたが本当に避けたい物事を見つけ、負けに対する戒めとして活用しよう。

(*1:日本国内においては現金やそれに準ずるものを賭けることは法律に違反する可能性があります)

 

次は「より注意を払って観る」ことについて触れよう。
新しいプレイヤーが受けがちなアドバイスに、上手いプレイヤーの対戦動画を観て、やっていることを真似すること、がある。もし彼らが真似して、その行動の理由がわからなくても、実際の試合で真似を試みることで、それを理解する助けとなる。
今のところ、このこと自体は熟練プレイヤーなら知っていて当然の内容だろう。

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しかし、常に自分の中にとどめておいて欲しいのは、格闘ゲームにおいてはほぼすべての情報は画面上に現れるということだ。
「仕込み」等のケース*2を除けば、プレイヤーが毎回下す判断は対戦動画において明確に見て取れるはずだ。隠された情報はなにもない。

(*2:音プレイ、手元のカンニングなど画面外の情報も反映されません)

そのため、トッププレイヤーがあなたより上を行く秘密の鍵は実は画面上に存在しており、しかしそれを取り上げるためにはより注意深く見なければならない。
もし答えを見つけたいのなら、動画を受動的にではなく、「能動的に」観はじめる必要があるだろう。
試合の映像をカジュアルに、あるいは生配信で見ているときは楽しいし、面白いだろうが、学びや自己研鑽のためにはいまいち向いていない。
このことは非常に特定の組み合わせに関する映像が限られているときに問題となる。

トッププレイヤーのよりうまい判断力を真に理解するためのメソッドのひとつは、あなたが見たことがない試合を見て、そして最初にキーポイントとなる場面で一時停止をして考えることだ。例えば、第1ラウンドが始まる直前なんかがそれだ。
映像を一時停止している間に「自分だったらこのシチュエーションでどうするだろうか」と考えてみよう。この特定の距離で、特定のキャラ相手に何を、そしてなぜそれをするのか。

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あなたの各選択肢はなんだろうか?対戦相手の選択肢はなんだろうか?どうすればそれを撃退できる?対戦相手が何をするのか、あなたならどう考えるのか?

判断を決めた後、一時停止を解き、再度停止させるまでなにが起きたかしっかり観ること。
トッププレイヤーはあなたと同じ解答を示したか?もしそうでないなら、どうしてなのか考えることだ。対戦相手が行った行動に関しても同様に分析しよう。あなたは試合中のキーポイントとなるたくさんの場面でこれができる。そしてプロセスの中でなにかしら学び取ることだろう。

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別のメソッドは、「できる限り些細なことにも注意を払う」ことだ。ゲーム内のあるひとつの基本動作をピックアップし、例えば前ジャンプみたいなものに注目し、トッププレイヤーが前ジャンプを選んだ状況とその理由に着目するのだ。
一般的に試合映像を見ているとき、我々は大きな決断や結果に注目し、ほんの一瞬の些細な事物には目を向けないからだ。
また、このやり方は現状の向こう側にある総合的な戦略的ゴールを考える上でも有効である。以前のエピソード(*未訳)では、優先したい距離とその選択肢に沿った見方でいかに2Dゲームを分解して見られるか示した。

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それぞれの位置でどんな選択肢が取れ、そして別の位置に移るためにはどのようなツールがあるのか注目することで、それぞれのキャラクターがどの位置に陣取りたがるかフォーカスすることができるというものだ。
覚えておいてほしいのは全ての操作には何かしらの目的が込められており、あなたの役目はその目的を理解することにある。

例えばこのチップvsミリアの試合を挙げてみよう。注目すべき瞬間はすぐに過ぎてしまい、それは重要かつ簡単に見過ごされがちな情報を持っているものだ。
チップには通常に加えて追加の空中行動が許されている。そのため、彼は空中で二段ジャンプを2回することも、二段ジャンプの後の空中ダッシュをすることも双方が可能である。
この場面、チップはミリアから画面の1/3分の距離を取ったが、しかしミリア側はまだチップが空中ダッシュできることに気づいている。

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その後の空中ダッシュ攻撃を防ぐため、ミリアは5Pを非常に限られた瞬間だけ振っている。すなわち、チップの空中ダッシュ攻撃がミリアを驚異に晒すタイミングにおいてだ。
これは「先出し対空」と言われており、特定のタイミングで特定のスペースをコントロールするための安全な方法である。
これは、一見何も起こっていないように見える、取るに足らない瞬間の裏でたくさんの物事が動いている良い例である。

 

しかし、映像をより注意深く観ることはあくまで第一段階である。次は自分のプレイからも効果的に学べるか吟味する必要がある。
自分の試合を分析する方に移ろう。実際にプレイをすることより、自分自身のプレイを観ることは視野を一層広げる効果をもたらす。あなたの長所と短所がより明確になるのだ。
自分の試合を充分に見た後は、自分の手癖とパターンを認識し始めるだろう。格闘ゲームにおいて、特定可能な手癖とパターンを持っていることは、優れた対戦相手に付け込まれる可能性をもたらし、そして実際に付け込まれるであろう弱点なのだ。
そのため、もしも慣れすぎて、予測可能な行動に陥っているとしたら、動きを変える努力が必要となる。

 

今まで我々が見てきたものは、単にゲームをプレイすることや、単に試合映像を観ることよりも、つまらなさそうに聞こえるだろう。
しかし、それこそがポイントなのだ。より退屈であればあるほど、多くのプレイヤーはそれをサボろうとする。そして突然壁にぶつかってしまうのだ。

 

Part2

先のエピソードでは成長が止まったときに熟練プレイヤーが行えるいくつかの解決策を紹介した。
今回はもう2つ、「変化を強制する」、そして「休みを取る」ことを見ていこう。

「変化を強制する」ことを理解するためにまず問題をビジュアル化して見てみよう。
成長の過程を、坂を登っている状態だと想像して欲しい。普段はあなたは坂をより高く登ろうとしており、道程は明確だ。しかし問題が始まるのは突然あなたが自分より高い道を見つけられなくなったときにある。「高原に到達」したのだ。

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あなたは道の全体像を把握できず、目の前にある道しかわからない。
しかし、ズームアウトして見てみると、我々はさらに大きな丘が先にあることがわかるだろう。単にあなたは局所的な頂点に拘泥されているに過ぎない。この頂点から脱出し、隠された新しい高みに達するためには、あなたは一度坂を下って探索しなければならない。

このことは以前から行っていたことと異なることを行うことを示す。

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例えば、カイの黃色ロマンキャンセル・スタンエッジ(*以下、「黄キャンスタンエッジ」)は非常に強力なツールであり、その効率化のためにたくさんの時間を費やし、たくさん勝ち星を上げたとする。しかし、あるポイントに達すると、あなたは黃キャンスタンエッジへの対応がしっかりしている上級者と戦うようになり、一切勝てなくなった。
一見すると、そのツールの強さがなくなったように感じられたり、相手の方が有利な組み合わせのように思われるかもしれない。

しかし、真実としては、そのツールそのものや組み合わせにおかしいことはない。単に一芸で勝てる状態を過ぎるほど成長しただけなのだ。

こここそが変化を強制する必要があるタイミングだ。自らに課す挑戦を考えよう。例えばこれから、黄キャンスタンエッジ無しで勝とうとしてみよう。最初はたくさん負けるだろう。これは山を下っている状態を表している。

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しかし、唯一この方法で異なる道に入り込むことができ、使用キャラの異なる視点を見つけることになる。黄キャンスタンエッジ無しには他の戦略を発展させ、異なる距離感で戦う必要が出てくるだろう。そしてハードワークの末に到達するであろう境地においては、黄キャンスタンエッジ無しに勝てるようになっているだろうし、それを手札に戻しても良い。いずれにせよ使用キャラは以前より完璧に、強くなっていることだろう。

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できればこのメソッドが同時に技の明確な役割以外の使用法を模索することに働いてくれれば幸いだ。例えば、メイの2Kは単なる素早い下段攻撃であるだけでなく、高い打点の攻撃をスカす回避行動でもある。

もしくは、鉄拳においては攻撃を外すことは大抵悪い結果をもたらすが、一部の技は近い間合いでガードされるより遠くでスカった方がスキが少ないこともあり、強力な接近防止技となる。

 

さて、では「休みを取ること」について、その意味と利益を議論しよう。これは重要なテーマであるため、最初はよくある誤解を正すところから始めよう。

長い休みから戻ってきたとき、以前の無意識の手癖、悪いものも含む手癖を忘れてきたように感じるであろう。そのため、ある人は長い休息を取ることは、悪い手癖を取り除くのに良いメソッドだと結論付けるかもしれない。悲しいことに、そのように感じるのは、以前の手癖を「思い出す」までの短いプロセスの間に過ぎない。手癖は弱まっているどころか、今まで以上に強く出るようになってしまうのだ。

古い手癖を取り除く唯一の方法は新しい手癖を作り出すために励み、以前の手癖を超えるまでやり続けることだ。毎回対戦する前に、付箋をどこかに貼り付けることで新しい習慣を対戦中に思い出せるようにすることだってできる。

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このように、休みを取ることはマッスルメモリーをキレイにすることにはつながらないが、戦略的なアプローチにおいては有益だ。

そのひとつのプロセスが「インキュベーション」である。能動的に問題について考えていない間に、脳が解決策を見つけておいてくれるプロセスのことだ。

これが機能するためには、最初に問題の全ての局面を研究し、考えうる全ての回答を試してみる必要がある。そうしておいて、充分に長い休みを取る。これにはたくさんの睡眠も含まれており、そうすることで脳は、ネガティブな感情抜きに、関連するデータをこねくり回すことができるようになる。

 

もしこれが機能しないのであれば、異なるアプローチを試してみよう。
特定の組み合わせに困っているとき、相手キャラは何でもできて、弱点がないように感じられるだろう。そういうときはメインキャラクターをお休みして、一週間ほど相手キャラを真剣に練習してみよう。そうすればすぐにそのキャラができることとできないこととを経験できる。そしてそういった洞察が「勝てない」と感じる組み合わせにおいて効果的な助けとなるだろう。

休みを取ることは別の大きな利益をもたらすが、それを理解するためにはまず、「ドゥンカーの放射線問題」について提示しなければならない。
それは以下のようなものだ。

あなたは自分が医者だとして、腹に悪性腫瘍がある患者に相対していると想像して欲しい。その患者は手術することは不可能だが、その腫瘍を破壊しないと患者は死ぬとする。

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ここに腫瘍を破壊するためのある種の放射線がある。もし放射線が腫瘍に充分な強さを以て当てられたなら、腫瘍は破壊される。が不幸なことに、この方法においては過程にある健常な組織も破壊されることになる。一方で低い強さの放射線は健常な組織にとっては無害であるが、腫瘍に対して威力が足りない。

どのような手順を踏めば、放射線で腫瘍を破壊し、同時に健常な組織を傷つけることを避けられるであろうか?

一度聞いただけでこのナゾナゾを解くことができる人間は多くない。この問題はワキにおいて、異なるナゾナゾに挑戦しよう。

ある小国は強固な要塞の中の独裁者に支配されていたとしよう。その要塞は国の中心に位置しており、畑と村に囲まれている。田舎から要塞に向かって多くの道が続いている。
反逆軍の司令官は要塞を奪還することを誓った。司令官は全軍で攻撃すればそれが可能であることを知っていた。

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彼は軍をあるひとつの道に集め、本格的な全軍攻撃の準備をさせた。しかし、ここで司令官は、独裁者が各道路に地雷を仕掛けていることを知った。地雷は少人数であれば安全に通り抜けられるようになっていた。独裁者は軍勢や労働者を要塞に/から動かす必要があったからだ。しかし、大人数では地雷を爆発させてしまう。それは道路を吹き飛ばすだけでなく、隣接した村々まで破壊してしまうものであった。

どうやってこの問題を解決し、要塞を奪還することができるだろうか?

 

充分な時間を与えられれば、解答に気づく人もいるだろう。軍を少数に分けて各道路に配置し、同時に中央の要塞に到達するようにすればいいのだ。この話は放射線問題を解くのに役に立ち、人々は簡単に解決策にたどり着くことだろう。いくつかの異なる角度から弱い放射線を直接当て、中心にある腫瘍だけが強く被ばくするようにするのだ。

このように、2つのナゾナゾは非常に似通っていて、しかし2番目の問題の方が簡単で、さらに結果として1番目のものを解く手助けとなった。

この類推による問題解決は、あなたが格闘ゲームで遭遇する問題にも使える。複数の格闘ゲームをプレイするマルチプレイヤーの多くは、別のゲームの経験によってメインのゲームの問題が改善された覚えがあるだろう。同ジャンルにおける異なるゲームは充分に似ているので、大抵似たような問題を解決しなければならない。しかし、同時に充分に異なるので同様の問題でもゲームごとに異なる方向性で解決策が存在しており、他よりも明確な回答があるゲームもあるだろう。

以上のように、1つのゲームに拘泥している場合、休息を取って別のゲームを勉強することは結果として双方のゲームにおいて成長することにつながる。そして、多くの異なる格闘ゲームにおいて経験をすることはあなたの柔軟性を育み、新しいゲームに対してもすぐ馴染み、うまくなることができるようになる。

 

これらのメソッドが新しいアプローチに気づく手助けをし、停滞を乗り切る助けになることを願っている。

(*後略)

 

 

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