イギリス、ロンドンにおけるアーケード“The Heart of Gaming”のFacebookに投稿された小田泰之氏へのインタビューを翻訳しました。新作『SNKヒロインズ』をはじめ、様々な情報が拾えるインタビューとなっております。

 

元記事:https://www.facebook.com/TheHeartOfGaming/posts/1605122386265304

 

小田泰之氏へのインタビューをお楽しみ下さい。

小田サンのような人物を前にするとあらゆる感情がざわめきたつ。多くの場合は緊張と興奮だ。最初の挨拶に日本語で感謝の意を示そうとして何度も練習してきたが、実際に行ったのか記憶は定かではない。私はおじぎしたのか?それとも握手したのか?一部の人々にとっては些細なことかもしれないが、インタビュールームへと向かうエレベーターの中で私は大変に緊張していた。私はWill Curey、このインタビューをセッティングしてくれたリーフエンターテイメントの人間だ、へと向き合い、懸念の意を伝えた。彼は笑い、シンプルに伝えてくれた。「小田サンは落ち着いた楽しい方ですし、それ以上に、彼自身がゲーマーなのです。」その言葉は私を落ち着かせてくれた。そしてインタビュー室に入ると、小田サンは立ち上がり、誰でもリラックスできるような笑みをたたえていた。手を伸ばして握手してくれた。

自己紹介の後、我々は席についた。そして通訳役の方が“The Heart of Gaming”(*ロンドンにあるアーケード。最初の店舗は2013年に開業した)の歴史について教えて欲しいと伝えてきた。大いに喜んだ私は“HoG”の生い立ちと5年の歴史についてたどって説明した。通訳役の方は以前にもロンドンにおける昔のアーケード事情について質問してきたことがあり、1991年以来のセントラルロンドンのゲームシーンの申し子であった私は、過去30年あまりの歴史について詳細に説明し、語り合うことができた。私の(そして何百万人もの他のゲーマーの)アーケードゲーム人生の歴史の裏にいた人物に対する興奮を隠しきれず、私は自分のSNKコレクションを取り出した。とりわけ新品の『餓狼伝説スペシャル』のアーケードROMは、今や25年物であるが、小田サンだけでなく通訳役の方の興味をも惹きつけた。興奮していた私は、なんとか落ち着いて、時間が経っていることに気づき、質問することに集中し、インタビューは始まった。

 

(*以下、敬称略)

Mark:最近、「1番目として」ギース・ハワードが鉄拳シリーズにコラボ出演しましたが、あれは旋風を巻き起こしたと言っても良いでしょう。そのように『SNKヒロインズ』においてもコラボキャラが出る可能性はあるのでしょうか?

小田:確実にあります(笑み)。

Mark:皆がとても知りたい質問の一つですが、『SNKヒロインズ』のゲームエンジンはKOFシリーズと同様のものなのでしょうか?それとも、完全新規のエンジンなのでしょうか?

小田:KOF14と同じものになりますが、よりカジュアルなファンを対象としてデザインされています。また、2on2のゲームであるため、ステージ上のメインのキャラクターにハイライトを当てるために異なるシェーディングを施しています。

Mark:過去のSNKは1on1、あるいは3on3のゲームをつくってきました。どうして2on2のゲームにしようとしたのでしょうか?

小田:『SNKヒロインズ』はパーティーゲームなので、基本的な1on1以上のものを盛り込みたかったから、そして同時に3on3よりも早く試合が決まるようにしたかったからです。アイテムとキャラクター交代がゲームをより活き活きとしたものにしてくれます。

Mark:この数十年で初めてだと思いますが、SNKがNintendo Switchのために開発チームを組んだ理由がそれなのでしょうか?

小田:そのとおりです。Switchのフォーマットは複数人対戦を非常に簡単に実現してくれるのです。

Mark:ある人々は、このゲームでは伝統的なレバー操作が軽視されていると感じています。なにか理由はあるのでしょうか?

小田:アーケードスティックへのサポートは発売後のパッチで補われる予定です。我々はできる限りいろんな方にゲームを触ってもらえるようにしたくて、そのためゲームパッドでの操作を想定してデザインされました。
アーケード版も開発中です。

(なんてことだ。単に次の質問を先に答えられただけでなく、失望を伴う興奮を返してしまった。その反応について説明した。)

Mark:もう西欧では日本のアーケードゲームはないのです。

 

小田サンは驚いたように見えた。私は彼に、文字通り全てのゲームセンター毎に日本のサーバーに接続する必要があり、西欧でのアクセスの難しさを説明した。すると小田サンは素晴らしい笑顔とともに、そのニーズに応えられるようにしたい、と伝えてきた。乞うご期待。

 

Mark:登場キャラクターはどのようなものでしょうか?

小田:14キャラクターいます。1人はまだ公表されていません。全員、発売当初から使用できます。

Mark:一部のファンはKOF14のネット対戦に失望していますが、『SNKヒロインズ』では対処され、改善されているのでしょうか?

小田:我々はその状況に注意し、ゲームがオンラインで快適に動くようにしっかりと対策を講じています。

Mark:esportsとしてプッシュする予定はあるのでしょうか?

小田:ありません。繰り返しになりますが、ゲームは競技とパーティーゲームの中間を狙ったものになります。

Mark:『SNKヒロインズ』が「女性の(性)商品化」(*女性の愛玩物化)と一部に捉えられる懸念はありますか?

小田:我々もそのことは念頭においています。しかし、それは我々の意図ではないため、あまり心配してはいません。様々なコスチュームのオプションはストーリーと連動するものだということをプレイヤーも目にしてくれるはずです。そして、セックスアピールより「かわいい」アピールをこれまでしてきました。

 

(以上が『SNKヒロインズ』に関する話題である。そして、次のトピック、『SNK 40th Anniversary Collection』に移った。)

 

Mark:多くの人にとってSNKといえば、Neo Geoのことを思い浮かべることでしょう。なぜSNKはNeo Geoに関するコンピレーションを作ろうと考えたのでしょうか?

小田:Neo Geo作品はこれまで昨今様々なフォーマットで再録されてきました。そのため、特定の機種を使用したコンピレーションを出すのは難しく、これまでにそのような総集編が出なかった理由でもあります。

Mark:DLCとしてなにかタイトルを追加する予定はありますか?

小田:今のところありません。

Mark:Vol. 2に期待しても?

小田:可能性はあります。しかし、多くのゲーム同様、売上によります。

Mark:アーケードゲームはその難しさで有名ですが、一部のタイトルが特定の年代をターゲットにしていることはあるのでしょうか?

小田:タイトルは皆をターゲットに選ばれています。そして、リプレイやセーブポイントなど、たくさんの追加機能があります。このことで、アーケード時代のように、一度のプレイで1つのゲームをやり続ける必要はなくなります。腰を据えて1つのタイトルに挑戦し続けるもよし、カジュアルにプレイするもよしといった具合です。

Mark:わかりました。では次にコミュニティからの質問を取り上げます。

 

(ここで通訳役と小田サンがニヤニヤし始めた。彼らがどんな質問が来るのか予想しているであろうことにすぐに気づいた。そして、そのことに彼らが不満ではなく、面白おかしく受け取っていることに安堵した。)

 

Mark:『Capcom vs SNK 3』は将来的に出るのでしょうか?

小田:非常に率直に言えば、『カプエス』のようなゲームが出たのは双方の会社で当時展開中のシリーズが疲弊していたからで、団結して新しい製品を出すことがプレイヤーの関心をつなぎとめるための鍵となっていたからです。3作目の予定はありませんし、できる可能性についてもわかりません。

(小田サンの回答中に想定している時期、2000年代初頭、について注記したい。『KOF98』はトップが取れるものではなかったし、『ストリートファイターⅢ』シリーズもリリースからもう数年しないと人気が出なかった。
3Dジャンルはまだまだ荒削りだった。『バーチャファイター』は3のとき、イギリスのアーケードではピークを迎えていた。『鉄拳4』は三島家の不在によって不評だった。『モータルコンバット』は3Dの4以来アーケードから姿を消してしまった。
『ギルティギア』はまだ初期の段階であった。そしてこの時期、アーケードゲーマーもPS2やXbox、ドリームキャストを買って家で遊び、音ゲーによってロンドンのアーケードシーンが息を吹き返す前夜までこんな具合であった。)

 

Mark:『月華の剣士3』は出ますか?

小田:ストーリーは2で完結したと考えています。私はそのまま続編を作らない方が、輝きを保ち続けられると感じています。

Mark:開発していて最も楽しかったゲームはなんですか?

小田:間違いなく『餓狼MOW』です。

Mark:『餓狼』についてですが、続編を出すつもりはありますか?長らくカートリッジ、ソフト、DL版でもリリースされており、需要もあるとは思います。

小田:できることならばそうしたいです。総じて良いタイミングではあります。

Mark:開発に携わっていない中で一番好きなゲームは何でしょうか?

小田:『スーパーストリートファイターⅡX』ですね。

Mark:いいチョイスですね!(そして私のHoGへ行こうという誘いは残念ながら…)

小田:もしこの後すぐ日本に戻る必要がなかったら良かったのですが…。

Mark:残念ながら最後の質問ですが、KOF15は出るのでしょうか?

小田:はい。間違いなく出ますが、現段階で言えることはそれだけです。

Mark:小田サン、お時間いただいた上にコミュニティのための質問に答えてくださってありがとうございます。一緒にお写真を撮ってもよろしいでしょうか?

小田:もちろんです。
皆さん、読んでくださってありがとう。そして9月初旬に発売される『SNKヒロインズ』と『SNK 40th Anniversary Collection』をぜひチェックして欲しい。