KSB2018、一次エントリー締め切りまであと10日!まだの方はお早めにどうぞ!

 

今回から3回に分けて、コミュニティを盛り上げる要素に関する翻訳記事をアップして参ります。

ゲーセンが減り、家庭用中心のシーンとなりつつある昨今、コミュニティの発展はいかにして成るのか…。ヒントとなる記事です。

 

 

元記事:How to get a fighting game community to thrive and grow
Every community needs its leaders

 

 

「コミュニティを繁栄させるにはどうしたら良いか」

 

このことは、私がKOF13をメインゲームにしていて、KOFシーンに積極的に参加していたときにしばしば浮かんできた疑問だ。私はゲームもそのコミュニティも本当に愛していたので、他の盛り上がっているコミュニティのノウハウを持ってくることで、KOFシーンも同様に盛り上がって欲しいと考えていた。

当時は答えを見つけることができなかったが、それ以降コミュニティを繁栄させる要素について興味を持ってきた。

 

そして今回、3つの異なるコミュニティのリーダーに、その展望とコミュニティ形成の経験について話を聞くことができた。一人はSharpie氏、Xanadu Monthly*1やSkullgirls Tour*2のオーガナイザー(*主催者)である。次に、WNF*3で『スパⅡX』の大会を開催し、ST Revivalキャンペーン*4も展開しているTanila Miller氏とEugene Lin氏のオーガナイザーペア。そして、Esports Arena*5の格闘ゲームプロジェクト担当のStephenson Bamidele氏である。

*1:ゲーム店、Xanadu Gamesが主催していた月毎のイベント。ただし、Xanadu Gamesは2月に閉鎖、新たな店舗に移転を予定しているはず。

*2:コミカルキュートなホラー対戦格闘ゲーム『Skullgirls』によるトーナメントツアー。上位入賞者にはポイントが与えられ、ランキングを競い合う。Season 2(2018年5月まで)の現時点でのトップはSonic Fox氏。

*3:Wednesday Night Fight。南カルフォルニアのLevel Upが主催する、その名の通り毎週「水曜の夜」に様々な格闘ゲーム大会を開催しているイベント。Esports Arenaの1会場を利用。

*4:ST=Super Turbo、すなわち、『スーパーストリートファイターⅡX』のことを指す。『スパⅡX』のシーンを盛り上げていくべくイベント開催など活動をしている。

*5:Esports Arena。アメリカに数箇所あるesportsイベントのための常設会場+トレーラーによる特設会場を提供する企業。会場の一つは先述のWNFで利用されている。

 

彼らコミュニティリーダーと話すうちにシーンを盛り上げる3つのキー要素を見つけた。最初のキーは、「リーダーシップと組織化」である。

 


コミュニケーション

組織化は多くの壁を乗り越えねばならないが、それらの障害を打破する唯一の方法はコミュニケーションである。例え自分1人でたくさんできることがあったとしても、イベントやプロジェクトには助けてくれる人々が必要なことはすぐにわかる。

ローカルな集まりからEVOクラスまで大きなものであっても、それを実行するには他人とコミュニケーションしなけらばならない。コミュニケーションをキーポイントとすることはささいなことだし、当たり前のことかもしれないが、それは全ての格闘ゲームコミュニティの基盤であるのだ。

そもそも格闘ゲームジャンルは、誰かと会って対戦することを要求する。最小の規模で考えても、誰かにコンタクトして対戦をお願いしなくてはならない(ランクマッチでランダムな相手と対戦するのなら別だが)。

そしてこの構造がメジャーなトーナメントやイベントまで大きくなっているだけなのである。もちろん、かなりのコミュニケーションとチームワークを必要とするが。また一方で、コミュニティは掲示板やSNSに書かれたことを利用して将来に向けて戦略的になり、計画することができる。

アイディアを絶え間なく出してもらい、メンバーをイベントのサイクルの中に留めることが、ゴールに向けて到達するためのキーである。この点は『Skullgirls』のコミュニティが非常にうまくやっている。

Sharpie氏と他のリーダーたちはSkullgirlsのコミュニティが他のゲームほどの大きな規模がないことを理解しており、大会への参加者が少しでも多くなるように特定のイベントに絞って大会を開催する*6ように戦略立てている。そうすることで、その特定のイベントにおいては『Skullgirls』は大きな扱いを受けることに成功している。

*6:通常アメリカの大きな格闘ゲームイベントは複数のゲームのトーナメントを併催する。そのため、大会に部門として参戦する/しないという判断が必要になる。

 

こうするとトーナメントオーガナイザーとコミュニティがWin/Winの関係をつくることができる。トーナメントにおいて大人数の参加者が見込めるし、オーガナイザーにしてみれば大人数の参加者は必要なリソースを割くのにいい理由となるからだ。

掲示板(*フォーラム)や他のコミュニケーションツールを通して、Skullgirlsコミュニティはどのトーナメントで大会を行うのか、意見とアイディアを貯め込むことができている。良いコミュニケーションはコミュニティを強くするし、コミュニティが正しい方向性にあることを確認させ、メンバーは共に歩んでいけるのである。

 

コミュニティのためのイベント

格闘ゲームコミュニティでイベントを行う理由は多岐にわたる。新顔やお馴染みのメンツと出会い、スキルを試し、レベルアップし、格闘ゲームをプレイする喜びと(そしてイライラを)分かち合うのである。

特定の人々と会ってプレイすることは、オンラインでランダムな人間と対戦することよりも良い経験になる。また、イベントはコミュニティメンバーにとって目指すべきゴールを与える素晴らしい方法である。

メジャーイベントはプレイヤーがそのスキルを披露できる大きな舞台だ。賞金や、スポンサードの可能性、そして何より、より強く、あるいは相手に勝利することのプライドなどのインセンティブによってたくさんの猛者が参加してくれる。

しかし、素晴らしい競技者であることのみが道ではない。コメンテーター、配信プロデューサー、そしてイベントのコーディネーターもまた、コミュニティと世界に功績を残すために努力するに値する立ち位置だ。

また、イベントはコミュニティに大変な盛り上がりと活気を与える。楽しいイベントに行き、素晴らしい試合を観戦し、友人たちと一緒にプレイすることを楽しみに待っているときにはとても興奮するものだ。

そして、トーナメントの組み合わせに関するエピソードや、話題のトピックや、参加者による個別のストーリーをみんな読むのを心待ちにしている。現場の会場の空気に込められたエネルギーは刺激的あり伝染的で、家で観戦するのとは全く異なる雰囲気をもたらしてくれる。

もしあなたが格闘ゲームのファンで、メジャーイベントに参加したことがないというのなら、非常にもったいないことをしている。

 

そのようなメジャーなイベントとしてテキサス州、アーリントンのFree Play Arcadeで行われるSTスプリングシリーズのフィナーレ大会が素晴らしい例となるだろう(*今年3月開催)。Chris Delpと多くのオーガナイザーたちが、クラシックな(20年以上前の)ゲームである『スーパーストリートファイターⅡX』の巨大なトーナメントをやりきろうと協力しあっているのである。

日本やアメリカ、カナダからトップ選手が参加し*7、5000ドルの賞金が用意されている。また、ロサンゼルス、ニューヨーク、トロントで予選を行い、上位3人には交通費・旅費まで提供される。

*7:日本からは、Mつん氏、オトチュン氏、yaya氏が招待されている模様(参照

 

Tania Miller氏とEugene Lin氏はロサンゼルス予選の開催と、イベントの告知も担当している。スパⅡXファンにはたまらないトーナメントとなるはずだ。

 

また、Skullgirls Tourもチェックして欲しい。これはオンラインとオフライン双方によるシリーズもののイベントである。Skullgirls TourのTwitterアカウントで「Road to Skullgirls」関連のオフライントーナメントの情報がチェックできるはずだ。

素晴らしいイベントは目標にも、祭りにもなり、コミュニティが活動し続ける活気を与えてくれるものである。

 

定期的なローカルの集まり

しかし、大きなイベントだけではコミュニティを支えることはできない。人々には常に顔を合わせ、鍛え、楽しむための場所が必要なのだ。

メジャーイベントは素晴らしいもので、たくさんの新規参入者をもたらしてくれるかもしれないが、定期的に集まれる場がないとシーンは継続しない。メジャーイベントに参加するにはお金や時間が必要になるし、参加し続けるのは骨がおれる…この事情がローカルな集まりがコミュニティを活かし続ける血脈となる理由である。

コミュニティにいる人々にはホームと呼べる場所が必要であるし、また毎回成立しているという認識も必要である。行った時に彼らのための場があるという確信が人々には必要なのだ。

場に人が集まったり集まらなかったりがランダムに続くと、人々は足を運ばなくなるし、コミュニティは衰退してしまうだろう。もし、誰かが足を運んでも、人が集まっていないとすれば、信頼は失われ、彼はもう戻ってくることはないであろう。

 

南カルフォルニアにおけるスマブラシーンには平日毎日たくさんのローカルな集まりがある。月曜日はSmash Mondays、火曜日はLan Hero、水曜日はWNF、木曜日はFire & Dice、金曜日はFalcon Punchといった具合だ。

Game RealmsのSalty!のようなイベントでは毎週(金曜日)Skullgirlsのトーナメントを主催しているし、Esports ArenaはWNFにおいて毎週(水曜日)スパⅡXのトーナメントを開いている。

継続的にローカルな集まりが開かれることで、プレイヤーたちは帰れるホームがあることを実感するのである。

 

リーダーシップ

どんなグループでも一緒にいられる理由は、共通のゴールを目指して団結するからである。全てではないが多くのコミュニティはこのようなゴールを持っている。「コミュニティが楽しめるように手助けし、自分の大好きなゲームを盛り上げたい」という。

コミュニティの代理として決断をしてもらうために、コミュニティが尊重している人々がいるだろう。「コミュニティリーダー」と言った時に頭に浮かぶのはこのような人々のことのはずだ。

多くの場合、トーナメント主催者だったり、コメンテーターだったり、トッププレイヤーや配信者だったりするが、ともあれ実際に自分たちのゲームとコミュニティを支える立場で動ける人のことを指す。これらの人々はグループにおいて最大の提案者になりがちであるし、シーンが発展し、成長できるように上に下にと動ける人たちである。

彼らは、全てではないにしろ、たくさんの自由な時間やリソースをシーンの拡大のために割いている。リーダーたちはコミュニティを一体化させ、活発にコミュニケーションしている状態に保つ必要性に駆られている。

もし、あるゲームに関わる人々のグループが断片化している場合、コミュニケーションは寸断されがちである。また、それぞれのグループで固有の競争や大会を行おうとするため、一層コミュニティが分断されがちになってしまう。

コミュニティを団結させることはそのような不必要な障害を避けるためのキーである。

Sharpie氏やTania Miller氏、Eugene Lin氏、Stephenson Bamidele氏のようなリーダーは彼らの尊敬すべきコミュニティが旗印を掲げ続けるのに不可欠な存在である。

 

結論

コミュニティを繁栄させるにはたくさんの要素がある。しかし、組織化し、コミュニケーションを取り、コミュニティとして決断をすることがコミュニティの生死を決定づける。

このような基本的な構成要素を理解しておくことは、あなたのコミュニティをより発展させる良い基盤をもたらしてくれるだろう。

 

次回のコミュニティを発展させる要素は「宣伝」である。楽しみに待っていて欲しい。

 

(後略)


 

コミュニティをいかに成長させるか、という視点から始まる全3回の記事の第1回目です。翻訳しながら、コミュニティイベントに携わる者として至らなさに苛まれていた次第ですが、非常に参考になる記事だと思います。「ローカルな集まりの必要性」であったり、「コミュニティの分断」であったりと、個人的に耳が痛い話題も盛り込まれております。以前に投稿しましたローカルコミュニティの必要性に関する記事も併せて読んでみてはいかがでしょうか。「遊び」というものがそもそもコミュニティを介して存在している以上、避けて通れない話題ではあります。

 

また、この記事にかこつけまして。

KVO×TSB2018、3/25までエントリー行っております。記事中にも出てくる興奮するようなメジャーイベントのひとつですので、ぜひ足を運んでみて下さい。

もしあなたが格闘ゲームのファンで、メジャーイベントに参加したことがないというのなら、非常にもったいないことをしている。

KOFXIV部門は5/4(金・祝)に開催します。4月に行われるバージョンアップ後の初めての大きなイベントのひとつになります。腕試しでも、カジュアルな参加でも大歓迎です。会場でもイラスト展示コーナーなど企画も進行中です。KOFXIVを1日堪能しに来て下さい!

 

今回は選手の方も観覧の方もSmash.ggという登録システムを利用してもらうことになります。お手数ですがよろしくお願いします。

 

日本語によるSmash.ggへの登録方法ガイドはこちら(Cyclops Athlete Gamingさんのサイト)

その上でこちらのイベントサイトよりご登録ください。

KOFXIV部門の出場者はこちらより確認できます。

 

皆さまのお早めのご登録、および遠征等お待ちしております。